御伽の国の聖女様!〜婚約破棄するというので、聖女の力で結界を吸収してやりました。精々頑張ってください、私はもふもふと暮らします。
@zidori14
婚約破棄
「マーガレット・グレアム、お前と王子の婚約破棄を命ずる。それに加えて、王家への不敬罪で国外追放を命じる」
ある日、王城に呼び出された私は衝撃を受けました。婚約破棄されたことにたいして? いいえ、追放を命じたところです。
「追放ですか?」
「誰が発言を許したのだ!」
「……」
思わず国王に尋ねてしまった。だって、私は国を守る聖女として生まれた存在だから。
この王国では、常に一人の聖女が存在する。聖女は貴族の血をもってるものから生まれ、国を魔の手から守るための結界を維持する役割を担っている。そして、今代の聖女はこの私、マーガレット・グレアム。
「貴様の追放にさいし、グレアム家は取り潰し、領地も剥奪する」
グレアム家はそもそも私一人しかいないですし、領地もただの荒地でしょう。
「王家を侮辱した罪を、しっかりと償うのだな」
そう言うと、国王は兵士に命じて私を連行しようとする。
待ってください、少しだけ国王に言いたいことがあります。
「む、なんだ……仕方がない。最後に発言を許す」
「はい。私を追放するそうですが、結界はどうするつもりで?」
そう言うと、その場が静まり返る。そして、直後に大きな笑い声が響き渡る。
「ぐはははは、結界? そんなものまだ信じているのか。あぁ、聖女の生まれなんだったか? もし本当に結界なんぞがあったとして、我が国が今更そんなものに頼るわけないだろう」
「……言いたいことはそれだけです」
……まさか本当に結界のことを信じていないとは。たしかに、何百年も維持されてるとはいえ、結界を感じ取れるのは聖女のみ。他の人にとって信じられないのも仕方ないのかもしれない。
だけど、結界は紛れもなく存在する。この国を恐ろしい魔の手から守る、結界が。
私が居なくなれば、その結界も維持できなくなって消滅するのだけど……関係ないですね。
私は兵士に連れられて屋敷へと戻ります。そして、最低限の荷物をもって国外追放の準備を行います。
そして、私は追放されました。
門を追い出されると既に兵士も着いてきません。膜のようにはっている結界を抜けて、今まで一度も出たことが無い外に出ます。
本当はそのまま歩き始めようと思ったのですが、どうしても王子や国王の顔がチラついてしまいますね。よし、やってやりましょう。
私は振り返り、他の人には見えない結界にそっと触ります。そして、一呼吸。
「えいっ!」
今までは維持するために聖女としての力を使ってきました。ですが、今回はそれを逆に使って結界を破り捨てます。ただ、それだと結界の膨大な魔力が勿体ないので私が吸収しましょう。
「それじゃあ、結界の無い無防備な王国を頑張って守ってくださいね、元婚約者様」
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