3

 とりあえず旅の仲間が出来ました。しかもモフモフのかわいい狼さんです。


「してマーガレット、お前の事情は聞いたがこれからどうするのだ? 生活のあてはあるのか?」

「ありませんね」

「……魔界から来た我ですらそれは不味いというのがわかるぞ」


 ずっと王国にいましたから、外の世界のことなんてわかりません。この先まっすぐいけば神聖国というのがあるのは知っていますが、あそこの国はどうも狂信的なイメージが強くて嫌です。


「適当に家を作って適当に暮らすのは無理でしょうか」

「それが出来るんならそこら中に人間がいるはずだろう」


 とてもまともな返しをされてしまいました。フェンは狼なのに人間の暮らし方というものを理解しているのですね。


「いや、私は挑戦します。外界と関わらずのんびり暮らすなんて最高じゃないですか」


 王都にいたころは激務でしたから、のんびり暮らすのはひとつの夢です。やってやりましょう。


「まずは場所の選定です。行きますよフェン!」

「う、うむ」


 ということで、フェンと共に色々な場所を探し回ります。道中は大きくなったフェンに載っていたので私はほとんど動いていません。


「はぁ、はぁ……死ぬ……」

「おお、ここは素晴らしいですね! 綺麗な泉があって、大地も浄化されている。植物も多いですし、ここにしましょう」


 私もいい加減お腹がすいていたところです。フェンはかなりバテていますが……。


「大丈夫ですか? フェン」

「大丈夫なわけないだろう! 一体どれだけ走ったと思ってる!」

「とても助かりました、ありがとうございます」

「どういたしましてと言うべきなのか?!」


 元気じゃないですか、フェン。とりあえず私の魔力をあげておきます。魔界の生まれなら、これで元気になるはずです。


「お、おお?! 凄まじい力だ……」

「ちなみに、狩りは出来ますか?」

「出来ると思うが……」

「じゃあ何かわたしのたべるものをお願いします。携帯食料はなくなったので」


 私のおねがいをフェンはしぶしぶ引き受けて森へと入っていきます。

 一人になると、少し寂しいですね。なんだかんだでフェンはよく喋りますから……にしても、結界がなくなった王都の方、邪気がだいぶ弱まりましたか? 騎士団が頑張ったのでしょう。


 ですが、それでは困ります。ということで魔法で魔界とのゲートを開きます。呼ぶのは……そうですね、デーモンロードでも呼びますか。

 デーモンロードくらい連れてこないと私には勝てないとフェンには言いましたが、それは100体くらい連れてきた時の話です。一体なら大丈夫。


「……我を呼んだのは貴様か人間」

「はい、私です」

「……下等な人間が我を呼び出すなど、万死に値する!しね!……あれ?」

「あぁ、魔法は使えませんよ。そういう契約の元作ったゲートですから。それよりも、王都にいって暴れてくれませんか?」

「な、何を言っているのだ」

「報酬はこれで」


 すこし多めに魔力を放出して悪魔の前にチラつかせます。おお、迷ってますね。とても目が泳いでます。


「……わかった。王都で暴れれば良いのだな」

「はい。危なそうだったら逃げても構いません」

「はっ、何を言っている。我はデーモンロード、人間などには負けん!」


 そういって悪魔は魔力を受け取って消えていきます。


「……私も人間なのですけど」

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