第33話 魔王を配下に

「よし、お前たち、そこを動くな。何なんだそのふざけた数値は。20万ですら、人間としては異常値だというのに、世界征服でもするのか?いや、女神を殺し神界・魔神界全てを滅ぼすのか?」


「いや、別に征服や滅ぼす事に興味は無いぞ。だから、魔王であるお前と女神を殺したとして、進化も不変も無くなるとその後の人間はどうなるんだ?」


うん、何か魔王がおどおどしているな。

さっき聞いたステータスもあるけど、まあ俺たちの被害は皆無だろうな、実力差的に。


「それに関しては我にもわからん。今まではどちらか一方が討たれる事はあれど、同時にこの下界から両神がいなくなったことなどないからな」


「じゃあ、一回試すしかないのか?」


「お前、そんな簡単に魔王討伐と神殺しを決めるのか?」


「いや、実際困るよな、この状況は。争いが無くなるのは良いが不変は正直困るからな。だからと言って魔王をそのままに帰る訳にもいかんし、神殺しもどうかと思うからな……」


「ではどうする?我をお前の家来にでもしてみるか?我は実力差的に逆らう事もしないぞ?ただ、我よりも女神の方が傲慢だからな。あいつは人間の下になどにつく気はないぞ」


「魔王を家来って…それを見て誰が納得納得するんだ?魔族が人間の下につくなんて、誰も信じないだろ?」


「それはあれだ、そこの聖女の力で従えたとかどうとか…我は殺されるのも仕方なしと思っているからそこは問題無いのだが、不変が困るのであれば従えるぐらいしかないだろうな」


「私が魔王を従えるですって!?それこそ誰が信じるのですか?」


「スキルを増やして、魔なるものを眷属に出来るようにすればいいではないか?」


「私はレベル99ですので、これ以上どうやってスキルを増やすのですか?」


「そんなに難しい事でも無いぞ『キフト』」


魔王は手のひらをマロンに向け、身体全体に闇を纏わせた。

その後、闇はマロンの身体の中に吸い込まれていった。


「なっ!私に何をしたのですか!?」


「ちょっと、スキルを付与しただけだぞ」


「スキルですって!?ステータスオープン」


==============


名前:マロン

Lv:99

職業:聖女/聖魔女

HP:2211/2211

MP:9253/9253

腕力:523

魔力:13568

防御:3526

俊敏:1953


スキル:聖魔法-各種聖魔法(光剣・聖拳等)

スキル:慈愛-精神異常回復

スキル:加護-対象者に薄くベールを纏わせ、加護を与える

スキル:浄化-呪い・汚れ・状態異常等の除去

スキル:回復魔法-各種回復魔法(聖女の息吹等)

スキル:蘇生魔法-死者を蘇らせる(死亡後10分以内に限る)

スキル:全魔耐性-魔法攻撃無効

スキル:支配者(NEW)-魔なる者を支配し眷属にする

スキル:神魔法(NEW)-各種神々の使用する魔法


==============


「スキルどころか、何か職業も増えていますけど?どういう事でしょうか?」


「我はこれでも魔神の一人ではあるからな。力が弱い代わりに自分より力の弱い者には特殊な力を与える事が出来るのだ。今回は魔神ですら配下に出来るスキルを与えた為に職業にも若干の変更が入ってしまったようだな。聖魔女は魔族にとっての聖女のようなものだ」


「マロン、おめでとう。これでお前は人間にとっても魔族にとっても聖女になったんだな。すごいぞマロン」


「エルク、何か物凄く適当ではありませんか?」


「そんな事は無い。実際、これで魔王を討伐しなくても良い理由も出来た。女神に関しては無理やり服従させておくか」


「無理やり服従だと?」


「ああ、俺の能力があれば女神程度絶対服従など簡単だからな。なんなら、お前にもかけておくか?」


「お前は、いったいどれだけ規格外なのだ」


「それは知らんな。俺をこんな職業で転生させた大神にでも聞いてくれ。まあ、リナと出会ったのは計算外何だろうがな。おかげで、誰にも負ける事が無いのはわかったからな」


「何があっても驚かん事にするさ。さて聖女よ、我に支配をかけてみるのだ」


「私も何か、どこに向かってるのでしょうね…『支配』」


マロンの手から光の粒子が放たれ魔王を覆いつくす。

そして光の粒子が魔王の額に集まり、紋章を浮かべる。


「これで、我はお前の配下となったぞ。何か命令でもしてみるか?」


「そうですね。とりあえず言葉はワンしか話しちゃ駄目ですよ。その上でお手とおちんちん。あとは犬らしいく行動してください」


あれ?何か聞いた事ないそれ?

何か魔王がワンワン言いながら走り回ってるよ。

あっ魔王城の柱に向かって足上げたよ。

あれ大丈夫?デジャブかな?


「マロンさん、何か魔王の目から液体が出てるし、そろそろやめてあげようね」


「なんですかエルク。あれぐらい普通ですよね?どこかの誰かもやってましたし」


あっ、何かスイッチ入ったのかな?

怖いっす。パネェっす聖女様。

ほら、聖女様以外全員が股を隠してるよ。

全員漏らしちゃってますよ。

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