第21話 ファミリエ

「よし、とりあえず検証も終わったな。まあ思っていた通りチートだな」


「そうですね。能力値に関してはこのパーティー、バフで500倍がデフォになるので、低いとか関係ないですしね」


「ああ、それにデバフもあるから、おそらく魔王でもリナのワンパンで終わるだろうな」


「こう見ると、聖女である私が、このパーティーで一番のお荷物ですね…」


「マロンがいなかったら、俺はこんな旅はしていない。そうなればレンゲやリナにも出会っていない。マロンあってのパーティーだぞ」


「うん、マロンお姉ちゃんは必要。私の大事な人!」


「僕はエルクが来なければ、またどこかの貴族に買われて奉仕を要求されるだけだったし、このパーティーには感謝してるよ」


「みなさん…」


マロンは目に涙を浮かばせながら下を向いている。


「さてと、しんみりしていてもあれだし、また旅を進めようか。ついでにリナの冒険者登録も必要だしな」


「はい!リナちゃんは登録と同時にAランク冒険者ですね」


「それじゃあ、コーナンに戻るか」


そう言うと、俺たちは転移でコーナンの冒険者ギルドへ向かいリナの冒険者登録をした。

受付のお姉さんは、登録と同時にAランク昇格は史上初とびっくりしていた。

通常は冒険者登録をしたのちに依頼をこなしながらレベルを上げるのが普通だ。

なのに、登録した少女がいきなりレベル99なんだから、そりゃびっくりもするさね。


「はい、Aランク冒険者バッチになります。そう言えば、それぞれ冒険者登録はされていますが、パーティー登録はしないのですか?」


「あーそう言えばパーティーとして行動していたが、パーティー登録はしていなかったな」


「そうですね。私もアホ勇者とパーティー解消してからパーティー登録なんてしていませんでした。せっかくですしパーティー登録しましょうか。私、このメンバーは大好きですので」


「ああ、俺は構わないぞ」


「うん、私はマロンお姉ちゃんとエルクお兄ちゃんと一緒なら何でも大丈夫」


「僕はエルクに買われた身だから、何も文句なんてないよ」


「リナ、とりあえず誤解を招くような言い方はやめような」


「はーい」


「それでは、パーティー名はどうします?エルクは何かありますか?」


「んーすぐには思い浮かばんな。勇者とのパーティーの時はどんな名前だったんだ?」


「…〈勇者様御一行〉…です」


「うわー、ダサッ」


「はい、あのアホ勇者は本当にアホでセンスの欠片もない屑です」


「いや、そこまでは言ってないぞ」


「とりあえず、パーティー名は必須なので、ここでしばらくが各々考えて、それぞれ一つづつ発表しましょう」


「ああ」

「「はーい」」


そう言って四人は別の席に座りパーティー名を考えるのだった。

1時間ほどたって再度集まり、それぞれが発表する。


エルク「聖女様御一行」

マロン「…………」

レンゲ「ファミリエ」

リナ「変態集団」


「エルク、さっき<勇者様御一行>にダサッって言ってなかった?僕の聞き間違いだったかな?」


「いや、なんだ、やっぱりいーなーと思ったとか思わなかったとか…。それより変態集団ってなんだ?それ自分も含まれるんだぞ?」


「いやね、僕もチートだと言われたり、聖女様が足手まといと言っちゃったり、結構な変態集団だと思うけど?」


「だとしても、その名前は無い!あとマロン。それぞれが発表と言ったのはマロンだよな?なんで無言なんだ?」


「うぅーごめんなさい。何も思い浮かばなくって…………」


「というか、これ選択肢なんてないよな?で、俺は勉強なんてしてきてないからわからないけど、ファミリエってどうゆう意味なんだ?」


「うん、ファミリエは家族。私はマロンお姉ちゃんとエルクお兄ちゃんと一緒にいたい。リナさんも可愛いし守ってあげたい。家族よりも大事な人たち。だからファミリエ」


「「「それに決定!」」」

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