第20話 呪使いもチート決定

「チートって、僕の能力ってそんなに強いの?」


「俺とは違って制約はあるが、普通に見れば異常だぞ。あと気にはなってたが職業の(不変)って言うのはなんなんだろうな?」


「あーそれは見た目が変わらないって事じゃないかな?たぶん、僕はエルクより年上だよ?」


「いやいや、馬鹿なこと言うな。俺は22歳だぞ。マロンが確か18歳でレンゲは15歳だったよな」


「はい、私は18歳ですよ。どう見ても、リナちゃんが1番年下ですよね?」


「いや。僕はこれでも25歳だから」


「「「え?」」」


「まあ、そうなるよね。僕が奴隷商に売られた一番の理由で、呪いの子なんて言われてたんだ。10歳頃から見た目の成長が完全に止まってたけど、その頃に(不変)が発現してたのかな?普通に考えたら気味が悪いよね」


「そうだったんですか。リナちゃん、いえリナさんはやっぱり成長したいですか?」


「リナちゃんでいいよ。まあ、いずれは成長したいけど、今はこのままでいいかな。この格好だと、色々と良い事もあるしね」


「そうですか。もしかしたら私の浄化でどうにか出来るかもしれないので、その時は教えてくださいね、リナちゃん」


「うん、合法ロリ娘の件はそれでいいな。で、スキルは今後の為にも多少の検証はしておきたいな。これからいくつか試したいけど大丈夫か?」


「うーん、でも検証するにもMPが足りないかな。どれもこれも1000以上のMPが必要だけど、今は1235しか残ってないし」


「それは大丈夫だぞ。俺のバフで10倍になるからある程度は足りるはずだぞ」


「それなら呪符2と呪印以外は検証出来るかな」


「その二つは、単純にバフ・デバフだから検証も必要ないから問題ないな」


「じゃあ、まずはどれからやってみる?」


「そうだな、まずは操り糸でレンゲでも操ってもらうか。素の腕力を考えてレンゲ以上なんていないだろうから、レンゲが操れるならだれでも行けるだろうからな」


「へー、レンゲって凄いんだね。じゃあ行くよ『操り糸』」


「んっ!あーダメだよ、エルクお兄ちゃん。これ指一本動かせない」


「じゃあ、ほい」


「んっ、ダメ!そんな事しちゃヤダよ…」


レンゲは顔を真っ赤にしながら自分の胸を揉み始めた。

そんなレンゲを見ながら、リナは楽しそうにスキルを使っている。


「リナ、そのぐらいにしてやってくれ」


「うーん、ちょっと物足りないけどわかったよ」


そう言うと、レンゲはその場にへたり込んでしまった。


「レンゲでも抵抗出来ないとなると、実質リナには誰も逆らえないんじゃないか?」


「そうでも無いんじゃない?これ対象は一人だけだし、一人を操ってる時はそれなりに集中しないと出来ないから、結構無防備になるよ」


「そうか。まあでも、使い方によっては完全にチートスキルだな。じゃあ次は死霊術を使ってみてくれ」


「ほいほい。『死霊術』っと」


………………………………………。


「何も起きないな」


「うん、何も起きないね。まあ、この辺に死者がいないんじゃない?モンスターは討伐したら消滅するし、人間か魔族の死体でも無いと出来ないんじゃないかな」


「そうだな、その辺に死体が転がっていても嫌だけど、これはまたいつか検証するか。じゃあ、次は不認識を使ってくれ」


「どうする?これ誰にでも使えるけど、とりあえず僕にかけとく?」


「ああ、そうしてくれ」


「わかったよ。『不認識』」


そう唱えると、リナの身体を認識出来なくなった。

残ったのは服などの身に着けるものだけ。

うん、服が宙に浮いてて不気味だな。

そんな事を思ってると


「ねえ、これって服は見えてる?」


「ああ、服だけが宙に浮いてるぞ」


「そっか。じゃあ」


そう言うと、服が地面に落ちて今度は下着が宙に浮いている。

その下着も次の瞬間には地面に落ち、目の前にいるはずのリナがどこにいるのかわからない状況になっていた。

ただ、ここは森の中。

動けば音もなるので、場所自体はすぐにわかるし、何よりそこに服や下着が落ちているので認識出来ないが全裸の少女が目の前にいるのだろうな。


「リナ、動くと音でどこにいるかわかるから、悪戯しようとしても出来ないからな」


「ちぇー。ただ認識出来ないだけとか、結構意味ないね。『解呪』っと」


いきなり解呪を唱えるリナ。

いや、服とか下着とか、その辺に落ちたままだよね。

そんな事を考えていると、目の前に全裸の少女が現れた。


「あっ、服着るの忘れてた」


てへへ、っと笑いながらリナは服を着始めた。


「よし、服も着たし、あとは不老不治と不死不幸だけど、誰がやる?」


「それはリナはやりたくないのか?」


「うーん、不老不治はまだいいけど、不死不幸はね、どんな不幸かもわからないからね」


「じゃあ、不死不幸は俺がやるから、不老不治はリナにかけてくれ」


「ほいほい。『不老不治』『不死不幸』」


不死不幸がかけられた瞬間、頭の上に大きな木の実が落ちてきた。

その後は落ちていた果実で滑り転んだり、落ちてくる木の実を避けた先で鳥の糞が頭に落ちたり、細かい不幸が続いていた。

ただ、その頻度が多い。

1分に1回は何かしらの不幸が訪れる。

うん、不死になってもこの数の不幸とか絶対いやだな。


「あはは、それ地味に嫌だね。不死って事は死なないから、そんな不幸が永遠と続くとか、気が狂いそうだね。えっと『解呪』っと」


「ああ、不死になれるからって、こんな不幸になったら地獄だな。まさに呪いだな」


「さて、じゃあ次は不治の検証だね」


そう言ってリナは自分の手を短剣で軽く切りつける。


「いったーい」


「リナちゃん、急ですね。『リターン』」


マロンがリナに、肉体の回復魔法をかけるが、リナの傷は全くふさがらない。


「うーん、ほっとくと僕、出血で死んじゃうし『解呪』っと、マロン治して」


「まったく、もう少し浅く切ったら良かったと思いますよ。『リターン』」


マロンが再度回復魔法を唱えると、一瞬でリナの傷はふさがった。

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