第5話 聖女様が光の剣で無双します

「これ凄いですね。どんなモンスターも虫けらのようです」


さっき破った効果が残っている間、マロンは縦横無尽に走り回り、周辺にいるモンスターを「アハハハハ」と高笑いしながら切り刻んでいた。

その姿は聖女とは思えず、まるで鮮血に染まる剣聖のようだった。


「マロン、聖女だよな、本当に?」


「あっ、効果切れましたね。ええ、正真正銘聖女です。でも、この切り刻む感触、癖になりそうですね、ウフフ」


マロンは薄気味悪く笑い、光の剣を見つめていた。

うん、ちょっと怖いぞ、聖女様。


「でもな、この旅は俺のレベル上げも兼ねてだからな。この周りモンスターいなくなったじゃないか。それとマロン、服が返り血で真っ赤だぞ。聖女として良いのかそれ?」


「まあホント、真っ赤ですね。そうですね、じゃあ着替えますか」


そう言って、マロンは着ている服を脱ぎ出した。


「マロンさん、ここは外。君は女性。しかも聖女。こんなとこで脱ぐんじゃない」


「じゃあ、何処なら脱いでいちですか?このままだと、下着まで血で汚れてしまいますので、早く脱ぎたいのですが」


「とりあえず、簡易テント張るから。ちょっと待ってろ」


そう言って、サクッと簡易テントを張り


「ほら、いいぞ。中で着替えな」


「エルク、ありがとう」


血に染まって微笑む聖女様。

やっぱ怖えーよ、この聖女。


「さて着替えもしましたし、出発しますか」


「ちょっと待ってくれ。今マロンが着替えてる間に試したんだが、バフ効果は重複は出来ないみたいだ。今2枚の紙を破ったが、ステータスは10倍だった」


「10倍でも、果てしなく規格外なので十分じゃないですか?」


「まあ、そうなんだが、初めて使うスキルだし、確認しておくに越した事はないからな。マロンも何か気付けば教えてくれ」


「そうですね、分かりました」


ノービスまでは、歩いておおよそ1週間。

道中のモンスターを討伐しながら、夜は野営をして進んでいる。


「それにしても、この辺はD~Cランクモンスターばかりだな。おかげで俺は順調にレベルは上がって助かるが」


「初級向けの道を通ってますからね。ノービスまで5日程度で着く道もありますが、そちらは平均Bランクなので、今のエルクでは厳しいかと思い、こちらの道を使ってます」


「そんな道もあったのか。でも、それは助かるな。マロン、ありがとうな」


「いえ、エルクは大切な仲間ですから。今ならSランクモンスターが出ても、私が守るので、エルクはレベル上げに専念してくださいね」


「流石にSランクは出ないと信じてるが…次の国では、とりあえずCランク冒険者になれるように、レベルを上げておくさ」


「はい、その意気です」


その後も順調に進み、あと1日でノービスに到着する所まで来た。

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