第3話 聖女様のお部屋にお泊まりです

「さてと、旅に出るにしても、出るのは明日だな。今日は一先ず宿で泊まるか。また宿を探さないとな」


昨日の宿は、今日は満室らしく、別の宿を探す必要があるのだ。


「では、私の部屋に来ますか?各国で部屋を用意されるので、どの国に行っても、私の部屋へ来るなら宿を探す手間もありませんよ」


「マジか?それは助かるな。世話になるよ」


そう言ってると、エリーがちょいちょいと俺を呼んでるので行ってみると


「エルクさん、部屋に行くのは止めませんが、聖女様には絶対手を出したらダメですよ。聖女様は純潔で無くなると聖女では無くなります。そうなった場合、エルクさんは問答無用で即処刑ですからね」


「えっ…マジか…」


ペチャパイなマロンだが、顔は絶世の美女。

うん、相手は子供だ、大丈夫だよきっと。


「ではエルク、私の部屋に行きますよ」


「ああ、わかった」


少しの…多大な不安を持ちながら、俺はマロンの部屋に向かう。


「エルク、どうぞ自由に使って下さいね」


「ん?ああ、ありがとう」


マロンの部屋は至極豪華な部屋だ。

寝室にリビング、バストイレは別でリビングにはシャンデリア付き。

風呂なんて何人入れるんだってぐらい広い。

でも、一人用の部屋だ。

ベッドが一つしかない。


「エルク、私は先にお風呂に入らせて貰いますよ」


「ああ、わかった」


一人取り残された俺。

マロンの服が擦れる音、シャワーの音。

何もすることが無いので、随分と音に敏感になっている。


「エルク、上がりましたよ。エルクもお風呂、使って下さいね」


「ありがとう、いただくよ」


そう言って振り返ると、そこにはバスローブ姿のマロンが立っていた。


「マロン、同じ部屋に男がいるわけだから、とりあえず服を着ようか?」


「??何かダメでしたでしょうか?私、いつもこのまま寝ているので。部屋の中で着る服とか持ってないのですよ」


「ああ、そうか、わかった。とりあえず、風呂いただくよ」


俺はそう言って、風呂に向かう。

風呂から上がるとマロンはベットに座り


「エルク、明日からは旅に出ますので、今日は早めに寝ましょうね」


そう言いながら、ベットを叩いていた


「じゃあ、俺はリビングで寝るよ」


「何言ってるんですか、こっちに来てください。エルクは私が誘った仲間です。リビングで寝かせる訳にはいきません。一緒に寝ますよ」


「いや、でもそれは流石に…」


「何ですか?いいから早く来てください」


「…はあ、わかったよ」


マロンは何を言っても聞かない、強情な所がある。

俺は諦めて、マロンと一緒に寝ることにした。

とにかく自制しないと、やばい事になる。

平常心を保って、俺は眠りに着く。


朝起きると、右手が暖かい。

どうやら、手を繋いで寝ていたようだ。

まだ眠いが、朝なので眠いながら目を覚ます。


「んん…エルク、おはようございます」


マロンも同時に起きたようで、手を繋いでない方の手で目を擦りながら起き上がる。

起き上がったそこには、一糸纏わぬマロンがいた。


「マロン!身体!とりあえず隠して!!」


「んん…ああ、すみません。私寝相が悪くて、大体朝には裸になっちゃうのです」


特に慌てる様子もなく、ゆっくりとバスローブを羽織直した。


「エルク、どうしました?顔が赤いですよ?」


「いや、何でもない」


俺はその時、今日中には脱げない部屋着を買うと、強く強く決意した。

俺はまだ死刑とかゴメンだ。

だからって、これから毎日これで我慢出来る自信もない。


「さて、では旅支度しますか」


そう言ってマロンは、俺の前でバスローブを脱ごうとしたので止め


「マロン、君は女の子、俺は男。分かる?羞恥心を持ちなさい!」


「???」


言ってる意味を理解出来ていないのか、少しフリーズするマロン


「とにかく、同じ部屋では着替えない。俺がリビングに行くから少し待ってろ」


そう言って俺はリビングに行き、サクッと旅支度を済ませる。

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