第2話緊張の対面
実家を飛び出し、王都をも飛び出し、一ヶ月が経過したある日。
私は、長旅を終え、永住地となる──シュタッヴァ村に辿り着き、村長へ挨拶に伺うことにした。
私をこの地まで乗せた馬車を降りると馬車が土埃をたて、走り去っていく。
私は馬車に手を振り、見届け終えてからシュタッヴァ村と彫られた看板を見つめてからシュタッヴァ村へと足を踏み入れた。
長旅の高揚感を抑えられず、はしたなく駆け出していた私に村人達が眉をひそめてこそこそと話し出した。
そうよね、珍しいことよね!
シュタッヴァ村で唯一大きな木造の建物の前に、腰を曲げて杖をついた姿勢で老人が待ち構えていた。
「どういったご用件ですかな?お嬢さん」
低く、しわがれた声で訊ねながら老人がコツッコツッと地面を杖でついた。
老人の眼光が祖父と似たものに感じ、あの日の光景がよみがえり、背筋をピシッと伸ばさずにはいられなかった。
「住みたいなぁ......なんて思いまして。こちらの平穏を脅かすことはしないので......どうか私をこちらに住まわせてくれないでしょうか?」
老人の姿が祖父の姿と重なり、愛想笑いすら浮かべられず、ひきつった笑みを浮かべ、慎重に返答するのが精一杯だった。
「ほぉ......そうじゃなぁ。拒みはせんが村の
老人は唸ってから思案し、柔らかい声音で返答した。
「構いませんっ!よろしくお願いしますっ!」
と老人の返答に安堵し、何度も頭を下げて感謝した私。
どう振る舞うかで、今後の生活がどう転がるかが決まる。
よっし、と呟いて老人の案内についていく私だった。
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