ごきげんよう、可愛らしくて優しい読後感が素敵な掌編を、どうもありがとうございました。
こんなに読む者を温かく包んでくれる、抒情的な物語、きっと私は何年、何十年経とうともけっして書けないだろうな、としみじみ思ってしまうような、本当に素敵で可愛くて、そしてお洒落な結末。
名木橋先生シリーズだわ、と思って読み始めたのですが、「私」さん、三人目のお嬢様を出産された直後のお話、ということはこの赤ちゃんが「彬光の家族」の「私ちゃん」なんですね。
ということはもう数年で「私」さんは哀しくも儚くなってしまうのか、じゃあ、お見舞いに来ていた先生も、手を繋いでお見舞いに来たさく姉とすみ姉も……、と思うとなんだか哀しくなってしまって、思わず「彬光の家族」を再読しました。
そして初読時以上に大泣きしちゃって……。
ジェームスという名木橋家の猫ちゃんのお名前は、この地域猫ちゃんだったんですね。名木橋先生、「私」さんがラジオをやっているのを知っていたのかな?
謎のコメント、巧くんのお父様のお名前で「お?」と思ったのですけれど、可愛いなあ、きっと自分のお母様よりも年上(だと思うのですが)の「私」さんに淡く、ピュアな恋をしたきっかけは、きっと、そのラジオから流れる優しくて可愛いお声だったのかしら?(そう言えば、三女の「私」ちゃんも、お母様の読む絵本の声を憶えていましたものね)
自分の妹が生まれて、お母様は入院されてその隣には妹、お父様もお母様に気を取られて、淋しかったのかもしれません。そんな彼の心の空白にするりと入り込んだのがラジオから流れる可愛い、そしてジェームスちゃんに語り掛けているからだろう優しく響く「私」さんの声……。
こんなに優しくて可愛らしい「私」さんとのふれあいがどれほど巧くんにとっては煌めく時間だったのか、きっと彼は大きくなっても「私」さんとのささやかな触れ合いを憶えているのだろうなと思います。
「彬光の家族」と絡めて読むと、本当に温かい気持ちになれて、そしてちょっぴり今はもういない「私」さん思うと哀しい物語、本当にありがとうございました。
素敵な物語に出逢えて、幸せです。
作者からの返信
ごきげんよう、早速遊びに来ていただいて嬉しいです!
時系列的にはおっしゃる通り『彬光の家族』の「私」ちゃんが生まれた頃です。乱歩の「私」ちゃんは愛情たっぷり彬光の「私」ちゃんを見つめていました。『彬光の家族』の頃の「私」ちゃんはこのことを覚えてないんですけどね。
名木橋先生は基本的に奥さんこと乱歩の「私」ちゃんのことはお見通しなのでラジオやってることも知っていたかも……?
それにもしかしたら「私」ちゃんもラジオこれっきりというわけでもないかもしれませんし。
本作は篠騎シオンさんという方に『アリスな私にキスをしないで』を朗読していただいて着想を得ました。シオンさん、ツイキャスというサービスでラジオをやられていて、シオンさんの声が「私ちゃんにぴったり!」と思ったので「私ちゃんがラジオをやる作品を書こう」となったわけです。
弟や妹ができて自分が構ってもらえなくなる寂しさ、あると思うんです。そこに「私」ちゃんの優しさが染みたのかな。きっと巧くんにとっても一生ものの恋のはず。
読んでくださってありがとうございました。
しのぶさんという読者に恵まれて「私」ちゃんも巧くんも幸せだと思います。
面白かったです。ジャンルとしてはいわゆる、日常生活のミステリーというものでしょうか。ほっこりしました。
作者からの返信
お楽しみいただければ何より。
そうですね。日常の謎というやつです。ミステリーっぽくなかったかもですが、ほっこりしたならよかった。