第5話 町に出る

 ドニィーシャは建物の出入り口まで案内してくれたが、帰りは案内なしでは部屋に戻れそうにない。

 町に出ると車が走っていなかった、町の道は歩行者専用道路である、だが道幅がある幅50メートルくらいはありそうだ。

 通り沿いは個人商店が並んでおり、賑わっていた、また、商品も豊富にあるようであった。

 町のどこへ行っても同じような感じである、町が平和で豊かな証拠だ。

 だが、ショッピングモールのような大型店舗はなかった。

 それに町には教会や仏閣などの宗教的なものがなかった。

 そして、昼頃になると町は静かになった。

 俺は、警戒したが、武器になるようなものは持っていない、気配を探ると人々がどこかへ行ったわけではない。

 しばらくすると、楽器を持った一団が道の真ん中で演奏を始める。

 靴屋くつやだった店の前で肉の串焼きの屋台ができていた。

 俺は腹ごなしのついでに屋台のおやじに聞く

   「ここって靴屋だったよな。」

   「そうだよ、昼からは趣味で屋台をやっているのさ。」

   「え、午前中しか働かないのか。」

   「さては、にいちゃん、来たばかりだな。」

   「ああ、そうだ。」

   「ここでは大抵、午前中に働いて、午後はやりたいことをして過ごす、例外も

    あるがな。」

   「ありがとう、勉強になった。」

   「これからもひいきにしてくれよ。」

俺は屋敷に帰ることにする、確かめたいことが山ほどできたからだ

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