第6話 アピル

 屋敷に戻ると誰もいない不用心だ、俺は正面の階段に本を読んでいる少女を見つける

   「お嬢ちゃん、家の人どこかな?」

   「お嬢ちゃんだと私は誰よりも年上だぞ、言葉を選べ小僧!」

どうも不評ふひょうを買ったようだ。

   「どうしたのアピル。」

振り向くと金髪の女性が立っている

いつからいた?全く気配は感じなかった、俺は腹の底を冷たい物が流れる感じがした

   「あなたはドニィーシャのお客さんね、どうしたのですか?」

   「あのー、部屋に戻れなくなりまして。」

   「なら、最初に言ってくだされば、良かったのに。」

   「いえ、この子以外誰もいなかったもので。」

   「まだ、分からんのか、小僧。」

アピルと呼ばれた少女がにら

   「私、最初からいましたよ。」

   「すみません、気づきませんで。」

ここは、化け物屋敷か

   「では、私が案内しますね。」

俺は無事部屋に戻ることができた。

 部屋に戻って来るとドニィーシャが部屋に入って来て

   「町はどうでしたか?」

   「豊かで平和だった、でも運搬の車両を見かけなかった。」

   「それは町の下の階層に物を流通させる階層があるんです、明日見学しましょ

    うか。」

   「宗教的な建造物がなかったが、ここでは信仰を禁止しているの?」

   「いいえ、信仰は禁止していません、ただ、宗教的な対立などは重罪となりま

    す。」

   「建造物の建築も禁止されています、もともと小さな国ですのでそのような土

    地はありません。」

   「他には質問ありませんか。」

いろいろ質問があったがアピルと金髪女性のせいで頭から飛んでしまっている

   「アピルと言う少女と金髪の女性に会ったんだが・・・」

   「アピル・ラッサルね、彼女は5000年位生きていて、この国では一番の長

    寿よ。」

   「そして、知識量も一番だわ、本を読むだけですべて暗記してしまうの、アピ

    ル様と呼ぶといいわ。」

   「金髪の女性はサイーシヤ・プラトノーフね、魔術師で、魔女殺しの異名を持

    っているわ。」

   「大抵、アピル様と一緒に行動しているわ。」

   「その魔術師の気配に全く気がつかなかったんだが。」

   「それは、あなたが弱過ぎるからよ。」

   「これでも何度も死線を超えていているよ。」

   「それは、あなたの世界の話、いずれ、分かりますわ。」

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