勧誘と仲間
幸い
「それでこれからどうするの? 聖女マリーが死者から
「あぁ。残念なことにそこら辺の一般兵ならともかく、聖女マリーを暗殺するのは不可能だ。つまりセシアを弱体化させるのは難しいか」
「とは言ってもあれだけ全てが揃ってるホムンクルスに勝つのは難しいよねー……」
梨花の言う通り未来を視れ、なおかつ武器の打ち合いすら許されない状態の今では何回やっても勝つのは難しいだろう。
そして
ならば俺達がとれる作戦は1つしかない。
セシアをこちら側へ引き込むしかない。
もし
俺は自分の考えを梨花に話し、王都へと戻ることにした。
勿論、魔王城の城下町を滅ぼしてからだが。
◆◆◆
「来てるか?」
「うん。間違いなく追いかけてきてる。ただセシアかどうかはまだ判別はつかないよ」
王都へと侵入した俺と梨花は敢えて王都のメインストリートを堂々と歩き、ウインドウショッピングを楽しんでいた。
気が抜けたわけではなく、こうすることで俺を欲しいにしている聖女マリーは確実にセシアを差し向けてくると考えたからだ。
そして案の定釣れた。
俺と梨花は前回逃げ込んだ路地裏より更に深いところへと向かう。
ここは王都のはずれであり、王都で生活できなくなった者達が集うスラム街だ。
スラムの住人は何が起ころうと関わろうとはしない。
人のことを気にしていては生きていけないからだ。
だからこそ都合がいい。
「梨花まだ追ってきてるか?」
「きてる。しかもこの速度は間違いなく、セシアだね!」
「よし。じゃあ手筈通り梨花は隠れていてくれ。俺がまず説得してみるよ」
「わかった!」
梨花は建物の裏へと身を隠す。
俺はセシアが到着するのは待つ間に引き込めなかった時の倒し方を考える。
未来を視る
剣を乗っ取る
更に俺の予想では勇者学校に通っていた誰かの
鍵となるのは恐らく俺の魔法の
魔法の
そこが剣を乗っ取る
◆◆◆
思っていたよりも早くセシアが俺達の前に現れる。
だがセシアの顔は前回邂逅した時よりも心なしか不安に揺れているように見えた。
俺はチャンスだと思い、勧誘を試みる。
「零、また懲りずにまた王都へと来たんだ」
「セシアと少し話がしたくてな」
「話?」
「そうだ。お前一度俺達の側に来る気はないか?」
「唐突な提案……。だが悪くはない話でもある」
セシアが少し考え込む。
ホムンクルスの思考のプロセスはわからないが、思考にマルコスや勇者学校の誰かの意思が介入しないのであれば俺は飲むと考えている。
「それでどうだ? お前をモノだと思い込んでいる連中に一泡吹かせたくはないか?」
「零ならそれが可能?」
「勿論だ。俺とお前が協力すれば絶対に何とかなる。俺とお前が決着をつけるのはその後でどうだ?」
「……。脳内ではうるさいバグが零を信じるなとそう叫んでいる。だが私は自分を取り戻したい。その為なら——いいだろう。零に協力しよう」
俺はほっと胸を撫で下ろす。
聖女マリーの性格やエリシアの境遇を聞いていて正解だった。
あいつは自分の作ったホムンクルスを道具としか思っていない節がある。
だからこそ、そこに漬け込む隙が生まれるわけだ。
ホムンクルスである彼女達にも意志はあるし、心もある。
ならばこそそれを尊重してやらなければ上手くいくわけがない。
「それで私は何をすればいい? 王城を破壊すればいいか?」
「待て。そんな派手なことをすれば王都にいる全ての人間と戦うことになる。そうなったら他国も放っておかないだろう。それはまずい」
「ではどうするんだ?」
「とりあえず王城までのルートを確保してくれ。聖女マリーは俺が殺す」
「……いいだろう。では王は私がそこの魔族と協力して殺そう」
「気づかれてたか。梨花出てきていいぞ」
「うー……、結構上手く隠れたつもりだったんだけどなー」
「魔族は放つ魔力が独特だから私達ホムンクルスならすぐに見つけられる。とりあえず2人の侵入ルートを王城内に設置してくる」
それだけいうとセシアは俺達の元から去っていった。
俺と梨花はセシアからの連絡を待つべく、宿へと向かうことにする。
明日は決戦の日になるだろう。
———
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