手のひらに口付けを

拝啓、3秒前の自分へ

なぜ僕は今、顔面に拳をめり込ませているのでしょうか

僕はなにか悪いことをやったですか?

別に罰の当たるようなことはいっさいなにm…


「ハギュジュァッ!」

「もうちょっとまともな反応無いの?いらないんだけど、そんなやられ声」

「お、おまへにはひほのほほろっへのふぁふぁいほ?」

「え?何?聞こえない〜喋るならちゃんと日本語か人語を喋ってくれなきゃ会話になりませーん、できないならぁ〜話しかけないでくれませんかぁ〜?」

「このアマ…!」

「アマて…w古いすごく古い今どきそんなこと言いません〜」

「ばーkッ」

メリメリッバギッ!

あの一瞬で手首と肘の関節が120度回転

そして顔にめり込む拳(2度目)

「あががっ…」

「ばーか」

酷いっ!ちょっと子供みたいな悪口言っただけなのにこの仕打ちだなんて!

お巡りさん!誰かお巡りさん呼んで!ここに超理不尽な暴力を振りかざしてくる脳筋女がいます!お巡りさんこいつです!

「ほら、早く行かないと遅刻するよ?」

「誰のせいで関節とこんにちはしてると思っているんだ?え?」

「知らないわよ、そこで勝手に転んだんでしょ?」

「なんで張本人がとぼけてる訳?なに、ついにボケたの?」

「今度は足の関節、イッとく?」

すごくいい笑顔と、今にもやりかねない指がワクワクした動き…コイツ…やる時はやる女だ…!

「遠慮しておきます」

「そう、残念」

「へっ、のうきんがあだただだぁぁただだだだだだだだちだだだだたァァァあいァァ!」

「ちょっと!うるさいじゃない!急に叫ばないでよ!耳が壊れたらどうするつもりなの?!」

「耳が壊れる前に俺の足がっ!膝裏がこんにちはシテルゥヴアアゥゥァァァア!」


と、いつも通り仲良くイチャイチャとしている2人はちいちゃい頃からの幼なじみ顔なじみ。この一連の流れもいつもの事、アオイがちょっかいをかけてアカネが関節を外し、捻り、拳を叩き込む

毎朝これを見るのを生きがいにしている近所の爺さん婆さんもいるくらいなのであまりお気になさらず


「この暴力女が!ちったぁ慎ましさおしとやかさってもんをみにつけたらどうだ」

「また喧嘩を売ってる?よく売るわね今日は

弱い犬ほどよく吠えると言うやつかしら」

「こいつはこれだから…黙ってりゃ可愛いってのに…」

「へアッ?!い、今なんて……?」

「ええ?なんでもねぇよ」

(今可愛いって言ったぁぁぁぁ!)

「今可愛いって言ったぁぁぁ!って嬉しそうな顔してんな」

「…………ッ!ふんがあぁぁぁぁぁぁあ!」

鋭い拳が顔、心臓、鳩尾、と的確に貫いた

「こ、これは…さすがに……堪える…」

そこで意識はプツっと飛んでいく、どこか遠くへ


……………………………………………………

しばらくして意識が戻る

「ん…ん?後頭部に暖かな、そして柔らかい感覚が」

その柔らかを揉みしだく


「なにしてんのよ」

「へ?」

「な・ん・で・人の太ももを揉みしだいてんのよ」

「あ、これ膝枕か、いいものだな膝枕、最高だな膝枕、このなんとも言えない温もりと柔らかさ、どんな枕にと負けず劣らずのフィット感、反発力…すごいなこれやばいマジでやばいほんとにえぐい」

「うるさいわね、なんだお前気持ち悪いながながと人の膝の感想なんて喋らないわよ普通」

「バカを言うな語らずにはいられない、例え語彙が酷いことになろうとな」

「カッコつけんな気持ち悪い」

「なぁ、この流れで一つだけわがままを言わせて欲しい。」

「なに?」

「手の平に口付けを」

「気持ち悪い、死ね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る