第11話 彼女と本屋さん (3日目)

しばらくの間会話をして彼女がカフェラテを飲み終えたので、僕達は会計を済ませて外に出た。

暖かい飲み物を飲んだ後なので、カフェに向かっていた時よりも寒くはない。この後はどうするんだろうか。

「どこ行く?」

「本屋いきたい」

彼女から意外な言葉が出た。

「なんか欲しい本あるの?」

「小説読んだ方がいいって言ってたじゃん」

本当に読んでみようと思っていたとは。彼女は意外としっかりしたタイプなのかもしれない。

「じゃあ行こうか」

「うん」

僕達は近くの大きな本屋へと向かった。カフェから徒歩15分程度のところにその本屋はあった。僕達はまた寒空の下を歩いていった。彼女は歩き疲れたりしないだろうか。

「疲れない?」

「大丈夫」

大丈夫らしい。どちらかと言うと僕の方が体力が無いかもしれない。二人で並んで歩くと彼女の方が歩くのが早くて、僕が彼女に合わせていつもより早く歩く形になる。彼女において行かれないように、僕は彼女を追いかけた。

本屋に着いた。4階建てのとても大きな本屋である。1階は雑誌類、2階は文房具など、3階は学術的な本など、4階に漫画が置いてある。小説は3階にたくさん置いてあった。僕達はエスカレーターで3階に向かった。

3階で彼女はいろいろな小説を見ながら、僕にどれが面白いかなど聞いた。人によってかなり好みが分かれるので、無難なベストセラー作家の小説を勧めておいた。彼女はミステリー系の小説を選んだ。

「たくさん買っても読み切れないから、この1冊ちゃんと読み切ることにする」

「それもそうだね」

彼女は1冊をしっかり最後まで読み切るために、その1冊だけを購入した。

その後2階の文房具を見ながらブラブラしたりした。1時間ほど時間を潰して、僕達は本屋を出た。

「お腹空いた」

「どっかで食べようか」

僕はまだそこまでお腹は空いていなかったが、どこかで食事をとることにした。

「何食べたいの?」

「んー、テキトーにファミレスでいいよ」

僕達は近くにあったファミレスに入った。彼女はメニューを見て悩んでいた。お腹が空いていて直ぐに食べたいと言う割には、メニューで長時間悩んで空腹と戦っている彼女を見て笑ってしまった。

「早く決めなよー」

「んー、これでいいや」

彼女はパスタを頼んだ。僕はキノコ雑炊を頼んだ。

「おじいちゃんみたいなの頼むね」

「そんなことないよ」

頼んだ料理が運ばれてきて、僕達はそれを食べた。彼女はかなりお腹が空いていたようで、かなりの速さでパスタを食べた。僕はゆっくりと雑炊を食べた。彼女がパスタを食べ終え、僕が雑炊を食べている間、彼女は僕にいろいろなことを喋った。僕はそれをずっと聞いていた。

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