第33話

 僕の額に冷や汗が流れる。

 スマホが鳴った。……なるほど。なるほどね。

 僕は今日。悠真の家に泊まっていることになっている。

 その理由は、あの秘密基地のことが小夜には秘密だからだ。

 そもそも僕が持っている魔力そのものも秘密なのだ。

 なんか秘密にしてなくては行けない気がするのだ。

 なので、僕があの秘密基地に遊びに行くには悠真の家に止まらなきゃいけない。小夜に秘密基地のことがバレてしまったらお仕置きされてしまう。

 だから、悠真にはもし悠真の家に小夜が遊びに来るようなことがあれば、スマホで知らせるように頼んでいる。

 頼んでいるのだ。

 いや……まさかね?

 僕は急いで確認する。スマホを。

 そこに表示されるは悠真からの連絡。

 ……なるほどね。

 やっば……。

 この大男に魔力の使い方をレクチャーしている場合じゃない!

「……ここは任せよう……この男の始末も……子どもたちのこともな」

「御意」

 僕は何故か隣で僕に跪いているストーカーさんになんかそれっぽいことを言って立ち去る。

 ごめんね!大男!

 また今度ちゃんと教えてあげるから!

 

 ■■■■■


「御意」

 私はこの場から忽然と姿を消した刹那様を見送る。

 お美しい……。

「さて、と」

 私は愚かにも刹那様に剣を向けたバロンの方に視線を向ける。

「何か言うことはありますか?」

 バロンの首元に、剣を突きつけ、告げる。

「……ich glaubte」

「何?」

 突然外国語を喋りだしたバロンに私は首を傾げる。

「もう、無理だ。後は君たちに託そう。私達の夢が作り出してしまった悪夢を。君たちならなんとかできるだろう……」

「さっきから何を?あなたのような人間が託されても困るわ」

「だろうね……。でも君たちにしか託せないのだよ。なぁに。よくあることだ。前時代の負の遺産を現代の子たちが背負うことなんてね。それに、君たちならなんとか出来るだろう。私が知っていることの全てが記されたデータが奥の部屋のパソコンに保管されている。存分に活用したまえ」

「何を勝手な」

「……すまなかったな……私達の勝手な夢のせいで……。君の強くも優しいリーダーを大切にな。あと、出れほどのカリスマ的リーダーであっても間違えることはある。存分に支えてやるといい」

「言われなくてもそうするわ。じゃあ、さようなら」

 私はこれ以上話すのは無駄だと断ずる。

 そんな事あなた達のような人間から言われなくてもわかっている。

「あぁ。さようならだ」

 私の刀が走り、バロンの首を落とす。


「あぁ。───様。申し訳ありません……私がもっとしっかりしていれば……」

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