第37話 小話2
※スマホからの更新のため、読みにくい箇所があるかも知れません。
1. 力の差
部活中に起こったこと。
楽器の入れ替えの為、仁先輩と大型楽器を運んでいた。
「先輩、結局好きな人はいないんですか〜?」
「うるせえ〜!」
私は壁と楽器に挟まれ、かなりの力で抵抗した。
それでも男性と女性の力の差は明らかだった。
びくともしない楽器と壁の隙間はどんどん埋まり、私は困惑した。
「このままだと私の死因、めっちゃダサいですよ。」
「いいじゃん(笑) 死因が愛する楽器に挟まれるなんて(笑)」
「好きな人と一緒に死にてえっすよ。」
「へぇ〜。」
先輩の力が弱くなり、私は一気に隙間から脱出した。
すると外から鍵をかけられた。
私と仁先輩がふざけた伝統に巻き込まれるのはそうそうないため、2人でびっくりした。
「もう〜神奈川ちゃんがふざけたこと言うから〜。」
「だって気になるじゃないですか?」
「俺は高校までは今のままがいいんだよ。」
「よく分かんないです、その感じ。」
「そりゃあ、あいつらからしたら酷い男だろうよ。でも俺には良い方法が浮かばねえんだわ。」
「うーん。」
「神奈川ちゃんだって、結果を出したくない時だってあるだろ?」
「それはまあ、そうですねえ。」
「枠にはまった関係になりたいと思う気持ちは理解できるけど、それで相手を大切にできるかは分からないんだよな〜。」
「…私、大切にされてるんでしょうか。」
「それ、絶対俺以外に言うなよ。めちゃくちゃ大切にされてるよ。」
「大切にしてもらってるのは分かってるんですけど、今の先輩の男子の本音を聞いたら不安になりました。」
「あいつがあんなに人を大切にしてるのは見たことないくらい。明らかにみんなが気付くレベルで1人の子を大切にするなんて、あんな頭のいいやつのすることじゃないだろ。」
「他の人にもしてませんか?」
「してないと思う。本人じゃないから分からないけど。」
「結果を出した方が良いんでしょうか。私は結果を出して相手が離れていくくらいなら今のままで良いです。」
「あんなに分かりやすい結果なのに?」
「始まりあれば終わりもありますよ。」
「まあ、あいつがそれで良いって言うなら良いんじゃない?神奈川ちゃんとあいつが決めることだし。」
「ってか、やっぱりあいつと関係があるんじゃん。あんなに否定してたのに。」
「外堀から埋めるっていう戦い方ですよ。」
「女は怖いなあ〜。」
いつのまにか開いていた鍵には気づかずに、真面目な話をしていたパーカスの私たちだった。
2. 推し
「なぎ先輩って推しはどんな人ですか?」
きょうこちゃんに聞かれて、私は迷った。
きょうこちゃんに合わせるならジャニーズかな、とその時推していた嵐と関ジャニ∞を伝えた。
「嵐なら誰ですか?」
「うーん、相葉ちゃん。」
「関ジャニ∞なら?」
「丸山隆平。」
「なぎ先輩は可愛い系の男の人が良いんですか??」
「うーん、意識したことないけどそうなのかなあ?」
「奈良先輩は顔かわいい系ですもんね。」
おおっと、それを言いたかったのか。
「ああ見えて、かっこいいところばっかりよ。」
「アルトだからですか?」
「それは違うかな〜。」
「1年の間では、しゅんのすけくんが振られたとかなんとかって話題ですけど。」
「ふーん、そうなんだ。」
「意外に塩ですね。」
「後輩だからね。勘違いさせてもかわいそうだしそこはしっかり線引きするよ。」
「仁先輩と私、結構他の人から奈良先輩となぎ先輩のこと聞かれるんですよね。」
「ごめんね、面倒なことに巻き込んで。」
「良いんですよ。仁先輩と私は分かってますから。」
「きょうこちゃんはほんとに可愛いね。見た目も中身も性格も。」
「なぎ先輩もです。」
私ときょうこちゃんはハグをした。
私は少し意地悪をした。
「きょうこちゃん、おっぱい大きいよね。」
きょうこちゃんも強かった。
「小さい方が楽ですよ。」
私たちは、目を合わせて笑った。
「どうしたら大きくなるのか教えてよ。」
「多分、大きいのは望んでないと思いますよ。」
「そうかなあ。」
「それに、なぎ先輩のいいところは性格と可愛い顔ですもん。」
「きょうこちゃんと付き合いてえ〜!」
「あいにく、私は藤ヶ谷太輔なんで。」
「まさ君がいるくせに。」
「もう〜っ!」
私たちはまた笑い合った。
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