第9話 伝説の先輩
ある日、いつものパート練習で、私は仁先輩に尋ねた
「仁先輩はなんで吹部にしたんですか??」
「決まってんじゃん!ドラムだよ!」
「へぇ〜!私と同じですね〜!」
「大社先輩って先輩がいてな〜…」
くま先輩が叫んだ
「も〜2人ともなにしてんの!夏コンの練習するよ!!」
「えぇ〜くま先輩まじっすか〜?俺良いところだったっすよ〜?」
「うるさい!仁!さ、なぎちゃも仁もやるよ!」
初めてくま先輩が声を張り上げたのを見て、私は驚いた
嫌われちゃった…と不安でなみ先輩にこそこそっと尋ねた
「なみ先輩…私くま先輩に嫌われちゃったんですか……」
「違うよ!違う!あのね、大社先輩って、私たちの1個上の先輩なんだけど、私の元彼なの。だからくまちゃん、気を遣ってくれたの。なぎさちゃん心配させてごめんね。」
私は驚いた。なんてったってあの有名な大社先輩がパーカスでドラムを叩いてたなんて知らなかったからだ
大社先輩は、イケメンかつ性格が良く、ドラムができる為有名で人気でモテていた。
また、なみ先輩も清楚で可愛らしく美人でスタイルが良く、頭がいいことで有名だった。
その2人が恋人だったことを聞いても不思議だなんて思わなかった。
しかし、問題なのは私の友達が大社先輩とお付き合いしていることであった。
巻き添えを喰らうように、元カノと仲良い私は嫌われるようになった。
そのことについても謝られ、私は恋愛など懲り懲りだと思った。
その日の帰り道、私は奈良先輩といつも通り歩いていた。
「先輩は、大社先輩知ってます?」
「知ってるけどそんな仲良くなかったからよく知らないかな」
会話終わりである。
数秒の沈黙が流れると、その沈黙を切ったのは奈良先輩だった。
「大社先輩のこと気になるの?」
「いえ!むしろ迷惑被ってるので慰謝料欲しいです!!」
脊髄反射のように答えた私を見て、驚いたように笑っていた。
「どういうことなの?」
私は、なみ先輩と大社先輩のことを知ったこと、大社先輩と私の友達が恋人同士であり、嫉妬で嫌われていることを話した。
「ふーん…。神奈川ちゃんは悪くないじゃん。」
その一言で、何かが救われたような気がした。
私が俯くと、アスファルトに一粒の染みができた。
同時に奈良先輩からの暖かい言葉の雨が降った。
「そんな女はそこまでの女なんだよ。」
「少なくとも部員は神奈川ちゃんの味方だよ。」
奈良先輩の歩くスピードがなんだか少し遅く感じた。
私は奈良先輩には悪いが、それが嬉しくて、甘えてしまった。
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