人間の限界

「限界を超えろ!」


 たまにこんな熱血で熱い言葉を聞く。私は自分で言うのもなんだが、割に醒めた人間なので、「何それ、限界って超えられないものでしょ。うざ。何言っているの?」と思ってしまう。


 いや、これを書いている今でも、限界という定義そのものが、超えられないものなのだから、限界を超えるという言い方はおかしいと思う。

 なるほど、私は醒めているのではなく、単に理屈っぽいだけかもしれない。


 人間に限界があるかどうかで言ったら、私はあると思う。どんなに頑張っても自らの許容量を超えることはできないし、いずれは無理が来るだろう。たとえばバスケで、ドリブルをしてシュートを決めろと言われても無理なものは無理だ。え、何?運動音痴だって?否定はしない。夜道に気をつけて。


 私は限界に達しそうになると体調にガタが来る。もう少し頑張ろうと思っても体がそれを許してくれない。「私の弱々な体め!」と思うことがないと言ったら嘘になるが、大事なストッパーになっているのだろうから文句は言うまい。限界になるまで頑張るなんて土台無理な話だ。


「限界は伸ばすものだ」


 こういう言葉を聞いたこともある。まだこちらのほうが感覚的に納得できる。でも、限界を伸ばすために無理をしていませんか?とは思うけれど。


 限界なんてそう簡単に超えられないものだし、伸ばせないものだと感じる私がおかしいのだろうか。逆に簡単に超えられる限界、伸ばせる限界は果たして限界と言えるのだろうか。私の答えは否だ。

 ただ、限界など気にしない次元で何事もほどほどにいこうよ、これが私のスタンスだ。

 そう考えると私たちは「限界」という言葉を軽々しく使いすぎなのかもしれない。「あー、もう限界!」そう言う前に胸に手を当てて考えてみたい。

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