第4話 家ってあんまり広いと迷うよね
水晶さんにつれられて部屋を出ると、ここが立派なお屋敷だということが分かった。
私が住んでたアパートを建てても余るくらいの敷地は衝撃的で庭も手入れされているのでなんだか武家屋敷みたいだ。
珍しくてキョロキョロしていると、体が宙に浮いた。
「あんまりそっち行かないでね」
水晶さんは私を抱っこするとそのまま歩き出した。
おー、いつもより高い。
抱っこされるのが新鮮で年甲斐もなく楽しくなってしまう。
いや、別に小一が抱っこされるのは年甲斐もなくないのか。
母親は非力だったからあんまり抱っこされた記憶ないしねぇ。
まさに、箸より重いものは持ったことありませんって感じだったし。
暫く縁側を水晶さんが歩いていると私がつれてこられたのは風呂だということが分かった。
そこで降ろされ、中に入る。
入った瞬間、私は絶句した。
待て待て。
ここは銭湯か何かですか?
バスルームが異様に広いんですけど。
少なくとも、これは最早家ではない。
ていうか、そもそもここは家なのか?水晶さんの家なのか?
頭に疑問符を浮かべていると、水晶さんに紙袋を渡された。
「はい、これ洋服ね。サイズあってるか分かんないけど、何かあったら呼んでね」
私が意識を失っている間に何があったのでしょうか。
訳が分からなくなり、私は水晶さんを呼び止める。
「あの、ここどこですか?」
もっと早くこれをきくべきだった。
私の疑問に水晶さんはキョトンとした顔になる。
「え?まさか、姉さんから何もきいてないの?」
「え?」
お互い同じ顔でフリーズする。
あ、私は普段こんな顔してるのか……じゃなくて。
母親から何もきかされてませんけど?
水晶さんは「マジか……」と小さな声でつぶやく。
はい、マジです。
「実家が祓い
「初耳です。はらいやってなんですか?」
思ったまま口にすると、水晶さんは頭を抱えた。
どうやら予想外だったらしい。
あー、通りでバンバン話を進めると思ったら私が大まかな事は分かってると勘違いしてたのか。
「……そっか、分かったよ。一から説明したいけどそのままは嫌だよね?」
「はい」
なんか変な汗かいたせいで気持ち悪いし、こんなボロボロの服は嫌です。
私の意思が伝わったのかお風呂に入ってから説明してくれる事になった。
私はこれからどうなってしまうのでしょうか。
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