第3話 猫又ちゃん

「にゃああ」

「ん?どこだ?」

どこかから猫の声が聞こえる。

でもどこにいるのかわからない。


「空也ー、肩の上見てみー?」

「肩の上?……って、わぁ!」

「この子猫、どこの子だ?首輪ついてるし…」

「その子、猫又ちゃんだよ?」

「え?猫又ってあれだよね?猫の顔をした体が大きくて尻尾が2本ある……」

「尻尾はちゃんと2本ついてるし、しかもその猫又ちゃん超級妖怪じゃない!?」


「よく気づいたわね。」

声が聞こえた。

「私は超級妖怪の猫又、名前は琥珀こはくだ。」

「え………」

「なんだ?私が美しすぎて言葉が出ないか?」

「空也!目をつぶって!」

「はいっ!」

「あんたっ!琥珀だっけ!?早く服着な!!」

「って…きゃあぁぁ!!」


少し前まで女王気取りだった琥珀が顔を真っ赤にした。



「琥珀さんでしたっけ?」

「はい…そうです…」

「一つ質問があるのですが、なぜ琥珀さんは僕の肩の上に乗っていたのでしょうか?」

「そ…それは…そうよ!あんたの妖気がとってもおいしいからよ!」

「妖気……?」


「妖気ってのは人の持っている妖力から発生した周波的な物よ。妖怪は主に人間から妖気をもらい生きているの。その代わりに妖怪は人間の役に立つように裏から支えている。まぁそれも一部の妖怪だけだけどね。」

支那からそう教えてもらった。


「そういうことか〜。でも妖気って美味しいとかあるの?」

「あるぞ。私は何人もの妖気を食べてきたが、あなたみたいにすごくおいしいものははじめて食べたぞ。」

「そうなんですね。」


「琥珀さんはこの後どうするんですか?」

「あなたについて行く。」

「はい?」

「私はあんたの妖気の美味さに惚れた。私はあなたたちの計画に協力する。白鞘の雨は個人的に恨みがあるしね。」

「わかりました。」

「いい加減、敬語を辞めないか?別にあなたより私は上じゃないから。」

「いや、超級妖怪ですよね?明らかに上じゃないですか。」

「超級妖怪とて私はその中でも真ん中くらいだ。妖力も、あなたには負ける。」


「……え?…そうなの…?」

「そうだよ空也の妖力は妖怪だったら超級の中で最上級になりうるほどのものなんだから。」

「支那…僕そんなにチート能力だったんだ。」

「空也はそういうところも含めて割と色々鈍感だからね…」

「ん?……まぁよくわからないけど一件落着ということで…」


「契約をしないか?」

「契約っていうのは?」

「妖怪と人間が行う儀式のことだ。その妖怪と人間は結ばれるとも言われている。」

「結ばれる!?ちょっと!?」

「大丈夫だ。『言われている』だけで必ずそうなるとは限らない。」

「契約するの?」

「しようか。」


「司っちー!確か契約の札あったよね?」

「ありますよ。」

「一組ちょーだーい。」

「わかりました。」



「じゃあ空也と猫又ちゃんの琥珀の契約の儀式を行います。空也、札を猫又ちゃんに、猫又ちゃんも札を空也に。」


「ふぅ〜。はっっっ!!!」

妖力を込めると契約を行うことができるらしい。札によっては妖力の差によって主従関係が出来上がるものもあるらしい。


「よし。これで私、琥珀はあなたのものだ。」

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