第2話 発現

東山の背中が燃えていた。赤い炎が燃えさかっていた。

僕はどこから火がついたか分からなかった。呆然としていた。目の前で起こっていることが理解できなかった。その間も東山は地面でのたうち回っていた。

僕は慌ててスマホを尻ポケットから取り出した。指が不自然に動く。こんな時に動転しているんだなと思っている自分もいた。

なんとか救急車を呼んだ。あまりの衝撃に記憶がほとんどない。


一週間後、警察も原因不明としたことが分かった。僕はタバコを吸わなかったのでライターを持っていなかったし幸いにもというべきか。東山もタバコはやらなかったようでライターを所持していなかった。犬の散歩をしていた大川さんも警察に証言してくれたらしい。一週間の間、あまりにもバタバタと物事が流れていたので心も体も休む暇がなかった。僕はとりあえず警察ざたから解放されたようだった。両親は

「うちの子は人に火をつけることなんてできません。」

とムキになって言っていた。


夕食後、両親から話があると突然言われた。父は

「うちの家系は能力を持った人間が現れる。その人間は悪と戦わなければいけないと代々伝えられてきた。和彦、お前にはその能力があるようだ。」

と告げられた。僕の平凡な高校生としての生活は終わりを告げるようだった。

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