第14話

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 014_対決! 冒険者ギルド1/5

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 治療が終わった夕方、今日の患者数の報告をパルから受ける。


「三等民が28名で、四等民が30名。合計で7100ギル(大銀貨7枚、小銀貨1枚分)になります」

「ご苦労さん。よし、戸締りして食事にしよう」


 オレが扉の錠をかけようと向かったら、扉が乱暴に開きドアベルが派手に鳴った。

 入ってきたのは、緑色の髪の筋肉質の大柄な男と他に4人。いずれも屈強な男たちだ。


「貴様がサイか?」


 一番の前の緑髪の男が名乗りもせずに、オレに名を訪ねてきた。この男は何様なのかな?

 怪訝な表情で見つめていると、男が目を剥いて怒鳴ってくる。


「なぜ答えぬか!?」

「またあなたたちですか」

「ぐっ……人が居なくなったからやってきたのだ!」


 なるほど……。この男たちは昼頃に騒いでいた奴らか。

 パルを見る目が恐怖を称えている。昼間、痛い目を見たようだ。


「このゴミムシたちは、坊ちゃまを呼び捨てにしました。今度呼び捨てにしたら、ぶらさげている粗末な物を切り落としてやりますよ」

「「「「「っ!?」」」」」


 5人とも股間を押えて、青い顔をした。


「そんなに虐めてやるな。で、あなたたちはどこの誰かな? あぁ、口の利き方には気をつけたほうがいいからな」


 オレは視線をパルに動かして、5人に念を押した。


「お、俺たちは冒険者ギルドの者だ。……です」

「ふーん、で、あなたの名前は?」

「俺は警備部長のダーナンだ。……です」


 警備部長というのだから、このダーナンはギルドの幹部なんだと思う。

 一応、ことの重要性を考えて、それなりの人物を送ってきたようだ。


「で、オレになんの用かな?」

「おま―――サイ殿に冒険者ギルドの規約違反の懸念があるゆえ、同道してもらいたい。……です」

「今から?」

「そうしてほしい」

「分かった。行こう」

「た、助かる」

「そんなわけだから、今日の夕飯は下げてくれ。ソルデリク」


 ダーナンたちの後ろからソルデリクが現れた。

 気配もなく現れたソルデリクに、ダーナンたちが驚く。


「パル。行くよ」

「はい」

「え?」


 パルに声をかけると、ダーナンが目を剥いた。


「オレとパルは一心同体なの。パルを連れて行ってはダメだと言うなら、行かないよ」

「……分かった。です」


 ダーナンたちはオレとパルを遠巻きにし、冒険者ギルドへ向かった。

 そんなにパルが怖いのかな? 昼間、パルは何をしたんだろうか?


 冒険者ギルド・オルドレート王国王都支部。

 これがオレが登録した冒険者ギルドの正式名称。

 名前で分かるように、オルドレート王国の王都に置かれた冒険者ギルドの支部である。

 冒険者ギルドは国を跨ぐ組織で、総本部は隣の帝国の帝都にある。


 オレの知る限り冒険者ギルドは総本部と支部があって、総本部にはグランドマスターが居て全冒険者とギルド職員の頂点に君臨している。

 支部にはギルドマスターが置かれ、各地の風土に沿ったギルド運営をしている。


 オレは冒険者ギルドの会議室のような部屋に通された。


「パルも座ったらどう?」

「立っているほうが、反応しやすいので」

「ギルドがオレに手を出すと思っているの?」

「その可能性が全くないとは言えません」


 オレなら心配ないのに、パルも心配性だね。

 常にエネミーサーチを発動させ、敵対者の存在がないか確認している。

 天井の裏に聞き耳を立てている者が2人。マップにはしっかりと反応が出ている。

 ただし、赤●ではないので放置しているけど、パルもその気配に気づいているはずなので、警戒しているのだろう。

 こういったことをすると、冒険者ギルドの信頼度はゼロになるのが分からないようだ。


 扉がノックされて、3人の人物が入ってきた。

 1人は先ほどのダーナン。

 もう1人は金髪を後方で団子にした30前の女性で、碧い瞳で目じりがややつり上がっている。凄く真面目で融通が利かない感じといった印象を受ける。

 最後の1人はエルフで、長い銀髪が風もないのにサラサラと動く。ただ、このエルフは部屋に入ってくるとパルに視線をやって、しばらく見つめていた。しかも、ほんのわずかな表情の動きだったが、苦々しい表情をした。

 以前、エルフとダークエルフが戦争をしたエルフ戦争があったと聞く。その時の軋轢を今も引きずっているのかもしれないので、気をつけないといけないかもしれない。


「お待たせしました。私はこの支部のギルドマスターです」


 エルフがギルドマスター(ギルマス)と名乗った。


「私は購買部部長のロジーと申します」


 金髪団子の真面目ちゃんは、購買部の部長。

 幹部が3人も揃って、オレのような一般の冒険者を袋叩きにしようと思っているのかな?


「オレはサイで、後ろのはパル」


 パルがこくりと顎を下げる。

 真面目ちゃんが、オレとパルの態度に不満そうだ。


「それで、オレになんの用かな?」

「私から説明します」


 オレが水を向けると、真面目ちゃんが口を開いた。


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