第6話


 「あれ?今日の昼飯はそんだけか?」


 昼休み、友人の椎名 雄二が僕の机の上に置かれているものを見ながら話しかけてくる。机の上に置かれている物とは一体……!?

 答えはCMの後で!でも、WEBで!でもなく、あっさり白状すれば、今日の僕のお昼は売店で買ったパンと飲み物だけだ。


 「はは、ちょっと欲しい漫画があって、それを買ったからちょっと金欠なんだよ」


 「あんパン一個と紙パックの牛乳……それだけで足りるのか?」


 「ははは、まぁ、大丈夫だよ」


 「それにしても、お前が牛乳買うなんて珍しくないか?普段は緑茶とか紅茶とか飲んでるじゃないか」


 「そうだね、普段は牛乳はめったに飲まないね。でも、これは仕方ないんだ」


 「仕方ない?何がだ?」


 「あんパンには牛乳だよ!組み合わせとして最高じゃないか?」


 「あぁ……まぁ、そうかな?刑事ドラマの張り込みの定番みたいな組み合わせだけどな」


 「あんパンのあんこって単体で食べると甘過ぎるじゃない?でもその甘さをうまく包み込み丁度良い甘さに抑える役割が牛乳にはあると思うんだよねぇ。だから僕にとってはあんパンと牛乳はセットなんだ」


 「まぁ、わからんでもないかな」


 「因みに、クリームパンとも悩んだんだ、こっちも牛乳との相性抜群だからね」


 「食べ物の組み合わせの相性ってあるよな」


 「そうそう、僕は普段はコーヒーをブラックで飲むことなんてないんだけど、ケーキを食べるときだけはブラックで飲むかな」


 「そうだな、和菓子と緑茶とかもな」


 「まぁ、定番だよね」


 「俺は普段は炭酸飲料とか飲まないんだけど、ハンバーガー食べるときはコーラだな。なんか一味違う気がするんだよな……」


 「あー、ハンバーガーの時は炭酸飲んでさっぱりさせるのはわかる気がするね……」


 「……ハンバーガー食いたくなってきたな」


 「……やめてよ、椎名。僕は金欠だって言ったじゃないか!僕だって食べたくなっちゃったじゃないか!」


 そう言って僕は目の前のあんパンを食べ始める、口の中に甘いあんこの味が広がるが……頭の中にはハンバーガーがこびりついて離れない!椎名め!


 そんな葛藤を抱えながら隣の席を見ると、何処かの深窓の令嬢のようにも見える鳴海さんが小さなお弁当を小さな口で食べている。彼女はハンバーガーなんて食べるのかな?あんな小さな口じゃハンバーガーを食べるの大変だろうな……そんな益体もないことが僕の頭の中に思い浮かんだ。

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