第21話 感謝の言葉は大事

 

 あのあと俺は、指輪を付けられないのでシャイナさんにつけてもらった。




『じゃ、じゃあ私は…』




 と言いその後シャイナさんはそそくさと俺の部屋を出ていった。


 

 一人になり、椅子に腰掛けながら指輪を観察する。



 模様などなく純金のようなそんな輝きをした指輪だった。


  

 だが、それはとてもじゃないがきれいとは言えなかった。

 金色で錆びてはいないのだが、所々に傷がついている。



 もともとシャイナさんが使っていたものなのだろうか?



 高そうなものを貰い、魔法も教えてもらいと、シャイナさんにはどれだけ感謝の言葉を言っても足りない。




「あぇ?」




 そんなことを考えていたら急に眠気がやってきた。



 訳がわからないまま意識が段々と薄れてゆく……。





▼△▼


 


 


          ドタ


 



          ドタ





          ドタ

 



 足音で目が覚めた。

 辺りが暗くなっている。

 どうやら夜まで寝てしまっていたようだ。


 

 そう思っていた時





          バン!





 扉が力強く開けられ、視界がぼんやりしているので目を擦りながらその人物を見る……




「師匠…何してるんですか?」




 背中に大きなリュックを背負っている。

 


 まさかこの城のもの盗んだのではないかと思っていたその時




「帰る!」




 突然そう良い師匠は俺の方めがけて歩いてきた。



 帰る?

 今この人はそう言ったのだろうか?

 いや言った。



 いつも唐突だが、今回もなんて自分勝手なのだと呆れつつも「またか」と思った。



 ほんと俺はこの人に染まってきたな………




「分かりました…。でもシャイナさん達には言ったんですか?」




「うん」




 そう返事をしながら足を止めずこちらに近づいてくる。



 先程まで師匠の体で見えなかったが、シャイナさんと金髪メイドが後ろにいた。



 この人達も師匠に振り回されているのかと考えていたら、最初来た時のように俺の手首を掴んできた。




「痛った」




 それもかなり力強く。



 俺が痛がってるのをお構いなしに師匠は後ろを振り返り、




「師匠!ありがとうございました!」




 元気よく言った。




 ―瞬間



 場所が変わり


 

 見慣れた師匠の家になった。




「………」




 いや




「俺にも感謝の1つぐらい言わせてくださいよ…」

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