第19話 覚悟のある一言


「相談?」




 アオイが相談だなんて珍しい。

 あぁ昨日、師匠に何か言われたのだろうか…。




「はい…。実は昨晩師匠の師匠シャイナさんに魔法を見てもらったんです」




「…うん」



 

 やっぱり




「結論から言います。魔法を使うことができるようができました」




 え?




「よかったね!!」

  



 やっぱり師匠に相談して正解だった。

 私では力不足なのは理解していた。




「天才の部類に入ると言われました」




 ……え?まさかうちの弟子ってすごいの?




「ほぉぉ」


 


「ですが、師匠もわかっているように俺には絶望的に魔力がありません」




「う、うん」




 そうだった。  

 この子には魔法使いが無くてはならない物が少ない。

 それは致命傷だ。




「まだシャイナさんに言われたことには続きがあります」




 何かすごく嫌な予感がする




「俺が魔法を使うことによって命が削られてしまうとも言われました」




「あぁ……」




 最初、何を言っているのか分からなかった。

 


 魔法を使うことによって命が削られる。

 そんな事考えもしなかった。




「そこで相談です」



 言葉を失っている私に問いかけてきた。




「俺はどうしたらいいでしょうか?」




「………」




 大抵の人は魔力を使えても魔法は使えないのだ。



 なぜって?

 魔法を使うには、魔力を理解しなければならないからだ。

 魔力の多い人が理解しやすい。

 なので、私達魔法使いは運が良かっただけなのだ。 



 だが、アオイはどうだ?

 この子は魔力が少ない中、それを理解したのだ。

 こんな事普通の人はできない。 


 

 師匠が言っていた天才とはおそらく心からの言葉なのだろう。



 アオイに魔法を教えたら恐らく私を遥かに超える魔法使いになるだろう。

 私は魔法を学んでほしいだが、それを決めるのは私じゃない




「アオイはどうしたいの?」




 そう。本人が

【何をしたいのか】

【何を成したいのか】

 それは私の決めることでは無い。




「俺は……魔法使いになりたいです」




 それは




「命を削る事だとしても?」




「はい」




 そうか……



 

「分かった」




 本人が覚悟を決めている。



 ならば弟子の背中を後押しするのが師匠の努めなのではないだろうか?





▼△▼





「じゃあ私はちょっとややりたい事あるから」



 そう言い師匠は部屋から出ていった。



 俺の中では、魔法を続けると決まっていたが師匠を試すような真似をしてしまった。



 今回のことでわかったことがある。

 普段だらしない人でも、ちゃんと俺の事を思い真剣に【師匠】として考えてくれていた。

 それを確認できて俺は満足している。



 正直不安だった。



 本当にこの人についていっていいのかと。

 本当にここにいていいのか、別の道があるのではないのかと。



 だが師匠は、普段の調子だったら泣きそうな所を多く言葉を発せず「分かった」と一言。


 

 その一言に重く覚悟を決めたようなそんな気がした

 

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