第14話 おっふ


「ちょっと大丈夫?」 

 



 急にテルナの顔が目の前に来たので




「は、はぃ↑だいひょうぶです↑」




 声が裏返ってしまった。




「まったくも〜この扉の向こうに居るんだからしっかりしてよね!」




 え?



 どうやら俺は、師匠のことばかり考えていて全く気づかなかったが、どうやらもう目的地に着いたようだった。

 この正面にある扉の先に師匠の好きな人がいるらしい。



 や、やばい



 どうしよう。



 もしやこれって三角関係と言うのではないだろうか。

 などと俺が心の中で葛藤をしてるのを知らず、師匠は扉を開けた。




▼△▼




 扉の先は大きな部屋になっており、主張の大きいシャンデリアが天井からつら下がっている。



 どこに師匠の好きな人がいるのかソワソワしつつ師匠の後ろをついていく。




「シャイナさぁ〜ん久しぶりです!」



 

 反射的に師匠の背中に隠れてしまった。

 どうやら師匠の好きな人は目の前にいるようだ。



 恐る恐る師匠の背中から顔を出すとそこには



 肩よりも長い白髪をおろし、目をつむりなが椅子に座っている綺麗な女性がいた。

 


 人形みたい

 それが第一印象だった



「師匠!お久しぶりです!」




 …… 



 ……



 ……




 今なんて言った?

 師匠? 




「今回は私の弟子を紹介します!!」




 久しぶりにあえて嬉しいのか大声で喋っているが、目の前にいる人は目を瞑ったまま何も反応していない。

 果たして聞いているのだろうか?



 だがそれよりも今は

 そういう好きだったのか………。

 と一人で盛り上がっていたことに羞恥心で死にたくなった。



 などと考えていたが手を引っ張られその思考は打ち切られる




「ほらアオイ挨拶して!!」




 勝手に勘違いをしてこの状況についていけないのだが、




「初めまして………坂谷蒼です…」




 コミュ障全開の挨拶をしてしまった。

 相手を伺うように目を見たら金色の目がこちらを見ていた。




 え?

 


 さっきまで目が開いてなかったのに、もしかして何かまずかったのかと不安になっていたら、突然立ち上がり俺の方へ少しづつ近づいてきた。




「コツコツ……」


 


 ハイヒールの音が広い部屋に響く



 どうしたものかと師匠の方を見たが、口元を抑え何かブツブツ喋っているが聞こえない。

 物凄く喋りかけてくるなというオーラが伝わってきた。


 その時だった



 あれ?

 ヒールの音が聞こえなくなったのを不思議に思い正面を向き直したらそこに顔があった




 ………




 色々おかしな所があるが 




 ………




「こんにちは……」




 とりあえず挨拶しといた。




「……………」




 相手の返答はなく俺の目を瞬きせず見ている。



 どうしよう……

 そう考えていた時

 相手が動き出した。



 何をするのかと思ったが両腕を広げてきた。



 何だそれは



 師匠のもとで暮らしているせいである程度の奇行の意味は読めるようになったのだが……。

 


 一見これはハグをしようとしている人に見えるが、おそらく違う。



 これは……

 



 【 威嚇 】




 元の世界で見たアリクイが威嚇するポーズと全く同じだ。


 

 どうしよう

 俺も威嚇したほうがいいのだろうか

 取り敢えず同じように両腕を広げたら



 俺を両腕で掴んできた



 ………



 あれ? 



 これってハグじゃん

 

 


 

 



 

 


 



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