第13話 何…この気持ち
「行くよ!」
呆けている俺の手を引っ張り進もうとしてきた。
だが、流石に事態が理解できず
「ちょっと待って下さい。何処ですここ?」
「むふふ〜どこだろうね〜」
俺が戸惑っていることが嬉しいのか、無理やり城の方へとスキップをしながら俺の手を引っ張る。
まったくさっきの怒りはどこにいったのだろうか。
これまで見た事のないほど
ものすごく上機嫌だ。
▼△▼
されるがままに城の門まで来てしまった。
門と言っても門番がいる訳でもなく、只々大きいもんがあるだけの場所だった。
この先にどうやって入るのかと疑問に思っていたら、テルナが門に手のひらを合わせた。
「………」
なにをしているのか全くわからない。
少ししたら一歩後ろに下がり
「パチッ」
指を鳴らした
すると……
「ガチャ……ガガガガガガガ…」
音に反応したのか、門が開いた。
…………かっこいい
門が開き見えたのは一本の長い橋だった。
その先に城が見えた。
左右は絶壁になっており、この橋を渡る以外にあの城に入る手段がなさそうだ。
気になり、キョロキョロと周りを見ていたら
「今から行くたところで絶対に失礼の無いようにしてね!」
と偉そうに言ってきた。
「いやお前が気おつけろ」といつもだと反論するのだが
「ちょっと〜聞いてるの?!」
なにか言っている……
今そんな事どうでもいい。
何故か目の前の城から目が離せない。
白く芸術的なそれに心が奪われていた。
初めての感覚だ
建物に見惚れるなど……。
「ア、オ、イ!!」
と言い師匠が両手で俺のほっぺをつまんできた。
「ふぁふぃふぅるぅんふぇふか」
心配そうな顔をしながら手を離し
「どうしたの?大丈夫?」
そう問いかけてきた。
「え?大丈夫ですけど」
まったくどうしたと言うのだ
目を細めこちらを見てきたが
「そう……。じゃあちゃんとついてきてね!」
そう言い城の方へ歩き出した。
俺も後をついていく。
▼△▼
さっきから師匠の様子がおかしい。
なにか独特なリズムの鼻歌を交えながらスキップをしている。
こんなテンションの師匠初めて見た。
この先にある城になにがあるのだろうか。
気になり
「あの城になんかあるんですか?」
と言ってみたら
「ん?」と満面の笑みを浮かべながらこちらを振り向きながら、
「むふふ〜実はね〜あそこにね〜私の世界で一番好きな人がいるんだよ〜」
え?
す、好きなひ、人?
動揺してしまった
あの人に好きな人がいたからなんだと言うのだ。
誰しも好きな人はいるものだ
好きな人………
好きな人………
好きな人………
師匠に好きな人………
「その人は〜私の〜〜し………」
何か喋っているが今は頭に入ってこない。
師匠に好きな人がいると言われて頭がぐちゃぐちゃだ。
まさか俺が師匠に恋をしているとでもいうのか。
俺は師匠の声が好きだ
透き通っていていつまでも聞いていたい。
俺は師匠の笑顔が好きだ
にへ〜と笑う姿は無邪気な子供のようでかわいい
俺は師匠の寝顔が好きだ
寝ているときはどこか寂しそうな顔を見るとなんとも言えない気持ちになる
………
………
………
………
俺は師匠に恋をしているのだろうか
分からない。
だが師匠が別の男の人と一緒にいるということを考えると心がモヤモヤする。
そうか
これが
恋なのか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます