第11話 もう一度言って下さい


 俺がこの人に助けられ半年がほど経った。



 毎日家事をしているおかげで片腕で暮らすのが慣れた。



 テルナはこうなることを見越していたのかも知れない。だかこの人はいっこうに俺に魔法を教えてくれない。



 魔力があったのが分かっても使い方を知らないのでどうしょうもない。



 さらに家事ばっかしていたので俺は助けられてから一度も外に出ていない。



 以前流石に気になり外に出ようとしたら『危ないからダメェ!』と、泣きながら止められ渋々諦めたのだ。

 過保護過ぎないだろうか。



 本で見て色んな国があるのは知っている。

 ファンタジーの定番エルフやドワーフ、獣人など様々な種族がいるらしい。



 まだ俺は一度も見たことがないけど…。



 夜になり今日もやることが終わったので本を読もうとしていたら

 



「魔法を教える」




 といきなり言われた。




「こっち来て」




 そう言われついて行くとテルナの自室に着いた。



 どういう事かと思ったが部屋に入ってすぐ左側に地下への入り口があった。




「なんですこれ?」




 疑問に思い、額にシワを寄せ問い詰める




「いや〜元住んでた人が作ったらしくて……ね?」




 目を見て怪訝な顔をしていたら




「よ、よ〜し行くか〜」




 逃げたな





▼△▼





 ドアを開けるとそこにはおそらく地下へ続く階段があった。



 壁にロウソクの火が灯されていたが、薄暗く足元が見えない。

 テルナの肩に手を置きながら少しづつ石でできた階段を降りていく。



 ふとこの先にある場所なのだろうと疑問に思った。

 テルナが隠していた場所なのだ。あり得ない物があるのだろうと覚悟した。でっかい温泉があっても。ダンジョンがあっても。俺は驚かないと決めていた時、




「着いたよ」




 声を掛けられ思考を打ち切る。  

 


 テルナは俺が扉を開けろとでも言うのか、目で訴えているように見えた。



 暗くてよくわからないのだが…

 


 こういう時は声に出せよと呆れつつもドアノブらしきものに手をかけ扉を開いた。




「え?………」




 衝撃のあまり固まってしまった。



 なぜならそこはまるで太陽があるかのように明るく、野菜などの植物が植えられていたからだ。


 

 どうやって野菜などの食べ物を調達しているのかわからなかったが謎が解けた。



 おれはあまりの衝撃に呆然としていたがテルナはそれに構わず先に進む



 

 進むのだが、衝撃すぎて頭に入ってこない。



 数分歩いた時だろうか

 正方形のような大きな空間に出た。



 ここは一体どうなっているのだろうか



 そう疑問に思っていたらテルナが立ち止まりこちらを振り向き




 「最初に言っておくけど私、人に教えるなんてした事ないから勝手に理解してね!」




 どうやらここで教えてくれるようだ。



 だが、なぜそんなことを堂々と言えるのだろう。




 「最初から期待してませんよー」



 

 本音だ



 半年一緒に暮らしてきたが、この人は残念な女性なのだ。




 「私師匠なんだけど!!」




 ポッペタを膨らませこちらを睨んできた。



 まったくこういう所だけは可愛いのに……。

 



 「はぁ〜〜じゃあ基本的な事から教えると……魔力ってゆうのは動物がみんな潜在的に持ってて、言ってしまえばそうだな〜……血液みたいなものかな?まぁそれを自分のしたい形にに変換することが魔法かな?」




 なぜに疑問形




「まぁ口で説明するより見せたほうが早いからちょっと見てて」




 この人脳筋魔法使いなのか?



 手のひらを前に出し




「ふぅ〜」




 大きく息を吐いた




 するとあたりが光だし前髪や服が浮き立ち始めた




 低く力強い声質で




「――ラニット」




 と言った



 

 次の瞬間手のひらから




「ドガァァァァァァン」




 大爆発がおきた




「っぐ…」




 あまりの風圧で転びそうになったが何とか耐えた。

 砂埃で視界が失われた。



 少しして砂埃が晴れ




「これを使えるようになってもらう」




 とまだ魔力を使うこともできない俺に言ってきた。




 どうやら俺は師匠を間違えたのかもしれない。

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