第7話 失礼極まりない

 


「えっと……ここは……」



「ここは私の家だよ!」



「は…はァ」



 状況がいまいち掴めない。俺は確かに【ゴブリン】にやられたはずなのだが… 

 


 どうしてベッドの上にいるのだろうか。まさかこの人が助けてくれたのか?


 

 チラリと顔を伺ったが




「ん?」




 あざとい仕草でこちらを見てきた。

 


 いやマジで誰だよこの人。

 俺が目を閉じる寸前見た【マント】とこの人の羽織っている【マント】は似てる気がした。



 まさかこの人が助けてくれたのかなぁなどと思ったが、こんな見た目の変質者にそんな力がある訳がないと勝手に思い込み、心の中で見下した。



 だがそうなると、なぜこの変質者は「大丈夫!?」などと、俺のことを心配しているかの様な事を言って部屋に入って来たのだろう。




  別の人に助けられこの人に保護された



 

 としか考えられない。



 気になり聞いてみた。

          (現実世界2秒、脳内20秒)




「あの…貴方は?」




「あぁ~~忘れてた!私はバン・テスラ。あなたを【ゴブリナ】から助けてここに連れてきた者よ!」





 そう言いながら鼻を高くし、こちらを見てきた。



 え……



 気になることが沢山あるが、話を聞く限りこの人に助けられたらしい。



 心のなかでめっちゃ見下してしまった。




「ごめんなさい」




「……え?」 




 唐突に謝られ困惑した声だった。




「ごめんなさい」




「な…何……?」




 不審に思ったのか質問してきたが俺は何も答えなかった。


 

 やはり右腕が無いのは違和感があった。そこに当たり前のようにあったものが無くなったときの喪失感を初めて味わった。



 テスラは俯き




「ごめんなさい。私が来たときはもう…」




 なぜこの人が謝っている。


 

 死ぬ寸前の怪我を治してもらい、俺が感謝をするべきなのだ。




「いえ、テスラさんは悪くないです。この怪我は俺と彼奴等との闘いの勲章なんですから」(キリ☆)




 と我ながら良いフォローをしたななどと思い、心のなかで鼻を高くした。



 

 

 

 


 

 

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