第6話 あぁ
「ヴゥー」
とてつもなく低い声で唸っている。
怖い
つい先程忘れようとした恐怖が蘇って来る。
もうあんな怖い思いをしたくない。
すぐさま逃げようと来た道を振り返ったのだがもう遅かった。
何故ならゴブリン達が草の間を鋭い眼光でこちらを見ていたからだ。
「うわぁ!」
また尻餅をついてしまった。
先程とは雰囲気がまるで違い、ジッとこちらを見ていた。
少しづつジリジリと足並みをそろえ俺を囲むように近づいてくる。
どうしよう
逃げ道は塞がれている。
戦うしかない。
どうやって?
俺は運動神経が悪いし、ましてや生と死を掛けた戦いなんてしたことが無い。
覚悟が無い
また何か投げて気をそらすか?
そう思い立ち上がる
意気よいよく先程と同じように小石を空高く投げ飛ばしたが、ゴブリン達は見向きもしなかった。
明確な殺意が伝わり体が震えているのが感じ取れる。
そうこうしている内にみるみるとゴブリンとの距離が近づいていた。
どうしようやばい死ぬ……
ジリジリゆっくりと追い詰められていたがピッタリと同時に止まった
………
少し間があき
一斉に襲いかかってきた。
「ぐはぁ」
正面から腹を殴られ背中、脇腹、顔と全方向から成すすべなくタコ殴りにされた。
フラフラとしていたら足を硬いもので叩かれ
「ぎゃゃゃゃ」
悲鳴をあげ足に力が入らず仰向けで倒れてしまった。
ゴブリン達が馬乗りになり容赦なく俺を足や拳で殴ってくる。
息ができない
耳鳴りが聞こえる
「っあ………」
声にならない声がだった
殺意の込められた攻撃を成すすべなく入れ続けられ体の感覚がもうない。
体の原型があるのだろうか。
なんでこんなことになったんだ。俺がなにか悪い子としたのか。どうしてこんなことされないといけないんだ。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。
頭の中がグチャグチャになる
唯一機能している視界が真っ赤に染まった。
あぁ‥
何もかも諦め目を閉じそうな時、よく見えないが、【マント】のような物が見えた気がした。
見間違いだろう
もう力が残っていない。
ゆっくりと意識が暗く深い闇の奥底へ沈んでいった。
≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪
目が覚めたらベッドの上にいた。
あれここ…何処?
何…してたっけ?
右手で体を起こそうとしたが感覚がなかった。
ん?痺れてるのかな?
仕方なく左手で体を起こす。
「痛った」
左手に激痛が走った。
どうなってるんだ?何も思い出せない。
ふと、右腕が気になり目を向けたら
「あれ?」
無い。
一度見をそらし見間違いだろろうと、もう一度見たが右腕〔そのもの〕がなくなっていた。
あ、れ?
「うぁぁぁぁぁ」
思い出した。
そうだ俺は【ゴブリン】達に…
「ハァハァハァ」
変な汗をかき始めた。
そんな時
ドタ
ドタ
ドタ
ドタ
「バタッ」
ドアが力強く開けられた。
視線を向けると
「大丈夫!?」
服装が紫色に統一され、まるで魔女のような人がこちらを心配そうに問いかけてきた。
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