第14話 剣術大会 第1試合 2戦目

『さぁ!始まった第1試合!まず1戦目はガレート選手が勝利!

続いて2戦目の組み合わせは

ネメシス選手VSスカーレット選手』







闘技場

「…よろしく」

「よろしくお願いします勇者様」

『それでは、いざ尋常に…勝負!』

試合開始のゴングが鳴る。

2人は剣を交えないで隙きを伺う。

「…」

「…」

一向に進まない。

「…ふぁ〜」

「!」

ランの欠伸あくびに合わせて勇者は斬撃を繰り出す。

「よいしょ」

「何!?」

しかし見切られ腕を引かれ体勢崩す。

「隙だらけですよ」

「くっ…」

「…」

(勇者も落ちたものね)

「…そこ!」

「!?」

立ち上がりに合わせて剣を振ってきた、本来なら見切れるはずが何故かランはギリギリで避けることになった。

「…」

(何故か読めなかった、何故?)

立て続けに斬撃が襲う。

「くっ…」

(避けるので精一杯!)

「騎士団長とてこの程度ですか」

「!」

(このぉ…とりあえずこれはきっと

能力によるもの、それを解明しないと)

「『聖剣』!」

「!」

ランは聖剣を弾けはしたが体勢を少し崩してしまった。

「…」

(…今一瞬だけ感覚が戻った…となると…同時に発動出来ないということか)

「…ふぅ」

「降参ですか?」

ランは両手を上げた…しかしそれでは降参にはならない、自らの口で降参と言わなければ降参にはならないのだ。

「そう見える?」

「見えますけど?」

「煽るのがお上手ですね」

「そちらも同じでしょう」

「…」

「…降参の気がないなら、降参させるまで!」

勇者の剣が光った『聖剣』の発動合図だ。

「『聖剣』!」

「『星剣』!」

『聖剣』と『星剣』が鍔迫つばぜり合う。

「…早くも対応しましたか」

「…『感覚遅延』ですね?」

「その通り、『感覚遅延』…文字通り感覚を遅延させるものだが…」

「弱点として他の能力と併用が不可能に近い」

「そう、だから『聖剣』を繰り出す際には解除しないといけない」

「さて、タネも分かった事だし再開しましょうか」

「そうだな、『聖剣』!!」

会話の終わり直後に攻撃する、これは先程のガレートが使った戦術に似ている。がしかし。

「遅い!『グラビティ・ブレイク』」

数々の修羅場をくぐり抜けてきたランに、行動は既に読まれていた。そして最適解と言える技を繰り出した。


『グラビティ・ブレイク』…『星剣』の応用技、自身の武器に3倍の重力を纏わせ、攻撃した対象に、3倍の重力を指定した方向に与える。



最大出力の『聖剣』と

『グラビティ・ブレイク』がぶつかり合い、爆発した衝撃でランは壁に叩きつけられた。

しかし勇者も同じく壁に叩きつけられた、が下の重力に加え横に3倍の重力が掛かった。

「ぐぐぐぐ!」

「ゲホゲホ…降参しますか?」

「くっ、降参などするものか!」

「…そうですか」

「『聖剣』!」

壁に貼り付けられながらも最大出力の『聖剣』を繰り出す。

「…『星剣』」

それに対しランは最小出力の『星剣』で対抗した。


そして『聖剣』に耐えられなかった勇者の剣が折れた。

ランは見切っていた、勇者の扱う剣の耐久値が僅かであることを、そして最小出力の『星剣』で弱い所を狙い、砕いた。


「な、剣が…」

「たしかルールには、武器が破損した場合負けでしたね?」

「…そうですね、こればかりは私の

ミスです」

『勝負あり!!勝者!

スカーレット!』

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