第10話 皆で楽しくお風呂
時刻は深夜、ほとんどの店は締まり、活気は無く静まり返っていた。
「あー、疲れた」
「ほんまぶっ倒れるで」
スズランたちは店の前でそんなことを呟いた。
「お、姐さん、アリューン様お帰りなさい」
「ご飯出来てますよ」
「ただいま〜」
「カスミさんただいま〜」
「はい、お帰りなさいアリューン様」
「…なぁサザンカ」
「…えぇ」
((なんか距離感近くない?))
「さて、お二人はお風呂を」
「うん、そうする〜」
「…そんな臭う?」
「正直に言えば、とても臭います」
「よし、入ろ」
浴場にて
「ねぇスズラン」
「ん?」
「私達って初めて一緒にお風呂入るよね?」
「そやな」
「…溶けないの?」
スズランは人の姿ではなくスライム状態で身体を洗っていた。
「ん〜、少しは溶けるけど」
「え、駄目じゃん」
「汚れも一緒に落ちるから便利やねん」
「へ〜」
「失礼します」
「お背中流しますよ」
バスタオルを巻いたサザンカとカスミがやってきた。
「え…」
「お〜頼むわ〜」
「姐さんは必要ないでしょ」
「は〜い、アリューン様洗いますよ〜」
「あ〜、気持ちいい〜」
「それじゃあ私はこれで」
カスミはスライムになり、アリューンの腕にへばりついた。
「え、カスミさん?」
「よいしょ」
「お〜、凄い…なんかひんやり涼しい…あとなんかヌルヌルする」
「あ、それ私の粘液です」
「へぇ〜」
「スライムの粘液は消化液なんですよ〜」
「え」
「大丈夫です、汚れを溶かしてるだけですから」
「カスミさんが言うなら安全ね」
「…私のけ者やん」
1人寂しく湯船に浸かるスズランがそんなことをぼやいていた。
「姐さん隣失礼しますね〜」
サザンカがスズランの隣に入った。
「…負けた」
「は?」
「何が?」
「さぁ?」
続いてアリューンとカスミも入った。
「…アリューンも以外と」
「?」
「ちなみにカスミも相当ですよ」
「…私1番小さいやん」
「それもステータスですよ姐さん」
「うぅ〜」
「何の話?」
「胸ですよ」
「…」
「無言が痛い…」
「無言になるようなことを言うからですよ」
「ごもっとも」
「っていうか別に胸の大きさが全てじゃないでしょ?」
「まぁそうなやんやけど」
「心の広さとか器の大きさとか、そんなんじゃないの?」
「…」
「良いこと言いますね〜アリューン様」
「たしかに」
「容姿も大事よ、でも優劣を決めるのは相手、だから気になる相手がいるなら自分が変わればいい」
「なるほど」
「無理なら力ずくで相手を変えさせればいい、ってメイドさんが言ってた」
「へぇ〜いいこと言うメイドさんですね」
「うん、私の憧れの人でもあるの」
「かっこいいですね」
「…」
(…あんたの『
「姐さん?」
「ん?」
「泣いてるの?スズラン」
「え」
スズランは泣いていた、しかしその涙は無意識のものだった。
「なんでやろ」
「…年齢ですか?」
「スライムに年齢は関係あらへんわ」
「ふぅ〜スッキリ〜」
「お腹すいた〜」
「そうですね〜」
「ご飯にしましょうか〜」
その後は皆仲良く遅めの晩ごはんを食べた。
同時刻
「…ふむ」
フードを深く被った女は『恒星剣』の跡を見ていた。
「派手にやったわね」
クレーターに手を当て。
「…ナイトメア・エクスターミネーションか、やはり均衡が崩れつつあるわ」
戦った相手を読み取り、何かを危惧していた。
「これは速球に対処しないと」
女は闇夜に消えていった。
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