緊急任務 :村人殺しを討伐せよ 中編

「満月でしたね」

夜空を見上げるとそこには綺麗なお月様が…

「いや、新月ならんと出てこんやろ」

「新月まで待機ですね〜」

「そういえばアリューン」

「ん?何」

「なんでアリューンは死体を見てもなんともなかったんや?」

「う〜ん、なんかわからない」

「どうゆうこっちゃ?」

「恐らくですけど、何らかの能力スキルが発動してるのかと」

「う〜ん、常時発動パッシブか?」

「常時発動?」

「文字通り常時発動している能力のことです、例えば私の場合、星の光を吸収して身体強化が現在進行系で行われています」

「へぇ〜」

「となると、アリューンの場合は」

「えぇ」

「「恐怖に対する防御が常時発動している?」」

「…怖いものは怖いわよ?」

「恐らく恐怖の方向ベクトルが違うかと…」

「そうっぽいな」

「う〜ん」

そんな会話をして一日を終えた。




次の日

「…ねぇ、結局どうするの?」

「う〜ん、仕方ないな延長や」

「そうですね〜」

「ってランはええんかいな」

「何がです?」

「仕事は」

「これが仕事ですから」

「そうやったな」

「ねぇ、なんか音するんだけど」

「「音?」」

スズランとランは耳を澄ませるが…

「何も聞こえへんで?」

「空耳では?」

「…悲鳴?」

「…何処からや?」

「昨日行った村から」

「とりあえず行ってみましょう」



村にて

「…なんやこれ」

そこには…

「遺体が…無い?」

山積みにされていた死体がまるで最初から無かったかのように跡形もなく消えていた。

「…わからんな」

「えぇ、ナイトメア・バーサーカーでもこんな能力はありません」

「う〜ん、なんか嫌な予感がすんな」

「ねぇ」

「ん?」

「ナイトメア・バーサーカーって黒い鎧を着てるんだよね?」

「そうや」

「居るんだけど」

「「…は?」」

「あそこに居るんだって!!」

アリューンが指をさす方向に…

「…おる〜」

黒い鎧を着用し、大斧を担いだ ナイトメア・バーサーカーが居た。

「アリューン様!私達の後ろへ!」

「うん!」

アリューンはランの後ろへ下がる。

「おいおい、新月や無いし昼間やし…どうする?ラン」

「やるしかないですよ」

「そうやな」




VSナイトメア・バーサーカー


「先手必勝!」

ランは剣を即座に抜きナイトメア・バーサーカーに斬りかかる。

『…』

しかしナイトメア・バーサーカーには当たらなかった。

「すり抜けた!?」

「任せぃ!」

スズランが殴りカバーする。

『!?』

金属がぶつかる音が聞こえる、直撃した証だ。

「ラン!こいつは『死霊アンデット』や!」

「なるほど!」

ランは剣をもう一度振るう。

『!?』

ナイトメア・バーサーカーはギリギリで避ける、だが掠ったのだろう漆黒の鎧に傷が入った。

「よし!」

なぜナイトメア・バーサーカーをすり抜けずに斬撃が当たったのか?

それは魔力を込めたからである。

『死霊』には物理攻撃は通用しない、そのため魔法で攻撃するのが一般的だ。

しかし物理攻撃に魔力を込めてしまえば、その攻撃は物理と魔法の2属性デュアル・エレメントになり攻撃が通る。

『ーーーー!!!』

ナイトメア・バーサーカーは咆哮を上げ、大斧を振りかぶり。

「おっと」

スズラン向けて振り下ろした。スズランは回避に成功したが、大地に小さなクレーターが出来上がった。

「…これは当たったら即死やな」

「ならば回避しながら攻撃するまで!」

ランは俊敏に動き周り着実に斬撃を当てる。

「…」

スズランは狙撃のチャンスを見逃さないよう、銃を構える。

『!』

ナイトメア・バーサーカーは大斧を振り下ろす。

しかしその瞬間をスズランは見逃さない。

銃声が鳴り…

『!?』

ナイトメア・バーサーカーの胸を撃ち抜いた。

「隙あり!」

『!?』

「『星剣』!」

ランの奥義『星剣』がナイトメア・バーサーカーに直撃。

「…ふぅ」

『ーーーーーーーーー!!!!!!』

「生きてる!?」

「…やはりか」

「スズランさん!」

「ラン!そいつはナイトメア・バーサーカーやない!」

なんとスズランナイトメア・バーサーカーではないと言った。

「『ナイトメア・エクスターミネーション』や!」

「なんですってぇ!?」

「ナイトメア・エクスターミネーション?」

「これはとんでもない奴に出会ったな」


ナイトメア・エクスターミネーション

悪夢の殲滅者と呼ばれる『死霊』。


ナイトメア・バーサーカーと違い、

ワンランク上の存在である。

大きな違いとしては、まず『昼間』や『新月の日』でなくても存在できることである。


出現条件だが…

ナイトメア・バーサーカーの特殊個体(昼間や新月の日以外で生存できる個体)が死亡した際に稀にナイトメア・エクスターミネーションへと進化する。

この1つである…つまりあの段階では、ランはナイトメア・バーサーカーにトドメを刺していた。

しかし運の悪いことに、ナイトメア・エクスターミネーションへと進化した。


「…と言うことはあのナイトメア・バーサーカーは特殊個体だったと」

「そういうこっちゃな」

「…勝てるんでしょうか」

不安を隠しきれないランにスズランは

「え?余裕」

余裕だそう。

「「…え?」」

後編へ続く…

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