第7話 星の華

「星の華…」

「姐さんどうかしました?」

「星…華…」

「姐さん?」

「星…」

「あ、姐さん?」

「…」

「姐さん!?」

「…あ、すまんサザンカ」

「どうしたんですか?急に」

「ちょっと昔のことを思い出しただけや」

「…そうですか」

「それにしても二人は息ぴったりやなぁ」

「そうですね」

「これなら客の入りが良くなるんちゃう?」

「そうなれば儲けものですね〜」

「それにアリューンも楽しそうや」

「ふふふ、さて姐さん」

「なんや?」

「バーテンダー、手伝ってくださいね?」

「は?嫌や」

「あら、アリューン様は働いてるのに?自分だけはニートですか?」

「ニート言うなや」

「なら穀潰しですか?」

「なんか毒舌ちゃう?」

「働かざる者食うべからず」

「…」

無為徒食むいとしょく

「なんやほれ」

「ふらふら遊び歩いてる人の事です」

「遊び歩いとらんが」

「手伝ってくださいますよね?」

「いやレジにお金入れてるし」

「『労働』の二文字が足りてません」

「…」

「手伝ってくれますよね?、ね?」

「…はい」

スズランはバーテンダーを手伝うことになった。



閉店時間

「はぁ〜疲れた」

「それにしてはノリノリでお客さんと話してたじゃないですか」

「そうやけど…」

「カスミさん!」

「アリューン様!」

「あそこは楽しそうにぴょんぴょんしとんな」

「カスミは今まで一人では歌ってたんです、だからピアノを弾けて歌える仲間が増えて喜んでるみたいですね」

「アリューンも楽しそうやったな」

「スズラン!見てた?」

「おう見てたで」

「どう私とカスミさんのコンビ」

「息ぴったりやったなぁ」

「そうでしょうとも姐さん!私は今アリューン様もといアリスさんと一心同体です!」

「…珍しくテンションバク上げやな」

「それでは遅めの夜ご飯としましょうか」





寝室にて…

「ふー食べた食べた」

「腹はち切れそうや」

「はち切れたらどうなるの?」

「ん?はち切れた部分から内容物がぜーんぶ出てくるで」

「…最悪」

「そんな嫌な顔せんでも…」

「とりあえず今後どうするの?」

「まぁ現状維持でいろいろ考えとくか」

「じゃあ私は店のアイドルになってるわ」

「そうやな、それが1番やな」

「でも、私今偽名使ってるのよね」

「そこはネタバラシの時に言えばええ」

「そっか」

「その時にランがアリューンを応援するって言えば信憑性的なのが上がるしな」

「そう」

「その後に冒険者ギルドが支援すればなお良し」

「( ˘ω˘)スヤァ」

「寝とるし…」

ベッドでスヤスヤと眠るアリューンを見ているとスズランは考えるのがバカバカしくなった。

「…私も寝るか」

ちなみにスズランは寝る時には椅子の上でスライム状態で眠っている。






スズランの夢の中…

「これは人類…いや人間、魔人、エルフ、ドワーフ…そしてスライムの存亡を賭けた戦である!」

初代皇帝は広場に集っている者たちの前で宣言した。開戦を。

「この戦は魔皇の死で終戦となる!皆の者良き報告を期待する!」

『【星の華】に誓って!』

この言葉は戦へ行く者たちの誓いである。やがてこの戦は『歌』となる。





「…最悪の朝や」

スズランは朝目覚めるとすこぶる体調が悪かった…

「おはよ〜スズラン…なんか色ちょっと黒くない?また二日酔い?」

「おはようアリューン。これは悪夢を見ただけや」

「大丈夫?」

「大丈夫や」

「そう、それは良かった」

突然扉が開かれる。

「おはようございま〜す!アリューン様、姐さん」

「なんやサザンカ」

「お仕事の時間ですよ〜!」

「は〜い」

「…はーい」

(なんでアリューンは楽しそうなんや…)

スズランの働きたくない病が発症した。




開店時間

「さて、姐さん」

「…なんや」

「まだ拗ねてるんですか?」

「違うわ!」

「ならどうして元気が無いんですか」

「ちょっと嫌な夢見ただけや」

「そうですか」

「…ていうかもう開店時間やろ」

「おっとそうでした」

そう言いサザンカは店の看板を裏返した。

「よし」

「そういえばカスミとアリューンは何処や?」

「ふふふ、もうそろそろ来ますよ」

「なんやその不敵な笑み」

「スズラ〜ン、見て!」

「あ〜、制服か」

制服姿のアリューンとカスミが奥から出てきた。(カスミはアリューンの着付けを手伝いに同行)

「似合う?」

「似合う似合う」

「ふふん、これで私も労働者!」

「働き者やな」

「どこぞのスライムと違って(ボソッ)」

「おいこら聞こえとんねん年増女!」

「なっ!誰が年増おいこらですか!このニートスライム!」

「ほほう、サザンカ、言うようになったな?」

「労働者としてなら姐さんよりも上です〜!」

「「争う内容がしょうもない」」

「「ふぐぅ!」」

カスミとアリューンのクロスアタック(正論)がサザンカとスズラン(年増女とニートスライム)にクリティカルヒット。

「さっさと仕事しますよサザンカさん(年増女)、姐さん(ニートスライム)」

「「イジるな!」」

「…」(早く歌いたい)

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