冶ける

 ひとり、またひとり。


 すくい上げたはずの水が、

 赤から、黒く染まり、

 指の隙間から、零れ落ちていく。


 それはまるでひとの命の流れ。


 容易たやすく、

 重みの無い、

 水分。


 どろどろ。どろり。

 ぼたぼた、と。


 それを、

 自分の頭にこれでもかというくらい、

 かぶって生きてきた。


 これは、懺悔ざんげだ。


 名もなき者たちへの、懺悔ざんげなのだ。

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