第十三話 晩餐会の準備。

帰りの馬車の中…セラススは何やら楽しいをしていたみたいだけど…もはや、私の耳には入って来ない…。


「ねぇっ!!ステルラったら、聞いてるの?さっきから、空返事な上まるで私の話し聞いて無いみたいだしっ」


「えっ!ああ…ごめんなさい…なんだか疲れちゃって…」


「もう…一体どうしちゃったのよ?ルイと話ししてから変よ?彼に何か言われでもした?」


「ううん?何でも!それより帰ったらお母さまとドレスの話しが待ってるわ?セラスス決まった?」


 その話しを聞いて、納得して無い顔のセラススも、一気に華やいだ。


「ええ!勿論よ?今日1日中その事しか頭に無かったわ?授業中もね?ふふふ…お母さまにはこの事は内緒よ?」


 セラススは人差し指を、立て可愛くウィンクなどを見せた。セラススったら。


 私は気を取り直し、来たる晩餐会に向けての準備を楽しむ事にした。そうよ!晩餐会なんてこんな時にしか、味わえ無いもの?多いに楽しまなきゃ?


 私達、お母さまやセラススと早めの夕食を済ませ、客室で何を着て行くか話しをしたシャーロットや他のメイド達が、両手一杯の衣装と宝石にバックや靴迄持って来て。あっと言う間に客室が一杯になる。


「さあさあさあ。貴方達、大体のイメージは有るのかしら?」


「ええ!お母さま。私は、薄いサーモンピンクで、腰の辺りには、大きなリボンが良いですわ?後、淵のレースも大き目で。リボンも後ろより…前気味に…リボンの中心には赤紫のバラの飾りが欲しいし…後は…」


「まあまあっセラススったら、随分と注文が多いわねぇ…良いでしょ?お話しを聞くだけでも素敵なドレスだわ?貴方にピッタリよ?」


「えへへ…ごめんなさぁい」


「ステルラは?決まっているの?」


「私はーー」


「お母さまっっっ!待って!私お姉さまの衣装も考えてます!」


 …はっ?私の衣装…?なんか嫌な予感でしか無いんですけど…。


「あらあらあらっステルラの迄?是非聞きたいわ?」


「はいっお母さま!お姉さまって体型は、ずうっと女らしいじゃ無い?妹の私が見ても羨ましい位、グラマラスなんですもの?その折角の体型を出さないでいつ出すんですの?」


「…そう言えば…そうねぇ?勿体わね?でも若い淑女が肌を露出するのは…私としては賛成出来ないわ?それに、お父さまがご覧になったら、卒倒してしまうのでは無いかしら?」


 なぬっ!露出?卒倒?いやいやいや!何故、露出になるの?お母さま?


「いや…あの…ちょっと…何言ってるか分からないんですけど…?」


「お姉さまは黙っていて!!大丈夫よ?お母さま?その辺は抜かりありませんわ?」


 今の2人には、私の声なんて聞こえる訳が無く…私をそっちのけで盛り上がり出した。こうなったら止めれ無いと諦め、テーブルに用意されていたお茶で喉を潤す。


 私は、両手で紅茶の入った、ティーカップを左右にクルクル回しては、放課後のルイとの会話を思い出していた。


「…何か…怒らす様な事したかなぁ?」


「お姉さまぁ?何かおっしゃいました?」


「何も、言って無いわ?気のせいじゃ無い?」


 そう?とセラススは又お母さまとドレスの打ち合わせに没頭し出した。…恐るべし…地獄耳。


 小一時間たった頃だろうか?お母さまとセラススが私が居るテーブルに着き、シャーロットが「お疲れ様でございます。」と入れたお茶を美味しそうに飲んでいる。


「はぁ…何とか晩餐会迄の形は出来たわね?後は…あれで良いのかしら?セラスス?


「はい!お母さま!色々なアドバイスありがとうございました!」


「えっと…あの…私のドレスがまだ決まって無いんですけど…」


「大丈夫よ?お姉さま?お姉さまのドレスは私とお母さまで決めましたわ?どうぞご安心下さい?」


 セラススは自分のドレス以上に、ルンルンと嬉しそうに語ってた。勿論、お母さまも、全て任せなさいと言わんばかりのドヤ顔を私に見せる。


…はぁ…晩餐会…キャンセルしたくなって来た。


私が、物思いに耽けている間にも、この2人は晩餐会の用意を着々としていたのね?

お母さまとシャーロットは、ドレスやら他にも準備するからと、時間も遅くなったから私達は各自、部屋に戻る事にした。


「セラスス…ごめんね?貴方やお母さまに任せてっきりで…」


「ううん?良いのよ?お姉さま?晩餐会楽しみましょうね?お休みなさい」


「お休みなさい」


部屋に入ろうとした時、少し寂しげなセラススが声を掛けてくる。


「あ…ステルラ…今度の晩餐会…アリビオと行くんですってね?良かったわね?パートナーが見つかって…」


「セラスス…でもね?あの…」


セラススの口元が、微かに震えてるのを私は見逃さなかった。


「私のクラス迄、噂になってるわよ?アリビオったら、周りを気にして無いんだもの?困っちゃうわよね?」


「セラスス…」


そうだった…セラススは…アリビオの事が…でもっあの日、気になる人とは聞いていたけど…確信したのかしら?セラススはアリビオの事が好きって!だとしたら私ったらっ!何て軽率なの!!


「ごめんなさいっ何でも無いっ!お休みなさい!」


バタンッとセラススは自分の部屋に駆け込む様に入って行った。


本っっっ当!私ったらバカじゃんっ!!周りの空気読めな過ぎるっ!!!


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