第十二話 私…やはり…ポンコツです。
…何か…私は、又ポンコツを曝さらけ出してしまったのではっ!!!!
そんな事を、お構い無しに私の背後からいきなり抱きついて来た人がっ!!!
「お早う!!ステルラ!凄いじゃ無いっ!あの、アリビオ・アマネセル様から、お誘いを受けるなんてっ!!」
「マッマーチ・スペランツアたら!!いきなり背後はやめてよ!今の私には背後は鬼門なんだからっ!!」
「き…もん…?」ミルキー色の髪を赤い大きなリボンでポニーテールにして、クリクリと翠色の可愛い瞳のマーチが、キョトンとしている。
「…いえ…何でも…それより、貴方の方は?ドレスとか決まっていて?」
「ええっやっと決まったわっ!!お母さまと、アレコレ考えて昨日やっと決まったの!今日ドレスを新調しに行くのよ!楽しみだわ!」
やっぱり…セラススも、そうだったけど…女性はお洒落の事も考えるのも楽しみの1つよねぇ…まるで、遠足前夜みたいな?…は、流石に違うか。
「へー…良いわね?どんなドレスなの?マーチは素敵なミルキー色の髪をしているんですもの?きっと、何着ても似合うんでしょうねぇー…」
「ふふふっ///ありがとうっ!!ステルラに褒めて頂けるなんて光栄だわっ!嬉しい!」
マーチは恥ずかしそうに頬を染め、鞄から手鏡を出し髪型を整え直し始めた。
くぅっ…可愛いなぁ!私が男だったら、絶対にマーチを誘うのに!!!
「ねぇ…ステルラ…話しは180度変わるけど…魔法の勉強は進んでいて?この晩餐会が終われば、テストが始まるわよ?」
はぁあぁあっ!すっっかり忘れていました!!魔法の「ま」の字すら忘れていました!!!どどどどどーしょっ!!!
「……その顔すっかり忘れていたって顔ね?」
「ああ!!マーチ!お願いよぅ!私に魔法の勉強教えてくれない?」
「ええ!魔法の事は…私も得意じゃ無い方だし…どちらかと言うと大の苦手ね!逆に教えて欲しい位だわ?」
ああああああ…終わった…何もかも…。
「んー…あっ!!セラスス嬢に聞けば良い事じゃ無い?彼女ならーー」
「駄目…絶対喧嘩になる…私…喧嘩になる自信あるもの…」
「そんな自信いら無いって!んーー…それじゃ…アリビオ様は?彼なら良いんじゃ無い?彼ならーーー」
「駄目…彼は確かに…完璧に教えてくれるけど…一旦スイッチが入ったら…私…殺される自信ある…」
「だからっ!!そんな自信捨てなさいっ!」
ああああああ…駄目だ…お母さまに殺される覚悟で赤点取るしか、他に道は無いのね?マーチもあれや此れとアドバイスをしてくれるけど…どうやら私だけじゃ無く、他の生徒達も、魔法は苦手みたい…だから私自分の携帯小説に「魔法」ってワード入れ無かったのに…何でっ入ってるのよ!!そうよっ!!そもそも…何で入ってるの?
私の小説は…「令嬢・恋愛・学園…」とかのワードしか入れなかった筈…ん?待てよ…?思い出せぇえっ!!私の無い脳みそをフルに動かすんだっ!!!
んーーと……あっ…犯人は…私だ…そういや…あの時酔っ払いながら書いていた時があった…から…間違えて…ワード入れたんだ…多分。
「…ステルラ…?おーいっ真っ白になってるぞぉー!!!」
マーチは私の顔の前で、手をブンブン振っている。真っ白になっている私は、今にもギギギギッと擬音が鳴りそうな首だけマーチの方に向けて、ダバダバと滝の様に涙が溢れる。
「ああああああ…ごめんなざいぃいぃい。マーチィッずべで、私がやりばじだぁ!私が犯人でずぅ〜」
「う…わぁ…良く分からないけど…うんうん、そんな時も有るわ?私が許すから、泣か無いの?ほら、これで顔を拭きなさいな?」
半分呆れ、半分以上ドン引きしながらもマーチは綺麗なハンカチで私のぐちゃぐちゃになった顔を拭いてくれた。
「ゔゔゔっ…マーチ…何て優しい子なんだぁ」
そうよっ!!やってしまった物は、致し方無いっ!!だって携帯が無い以上、やらなくては!!
「ねぇ…アリビオ様やセラスス嬢が駄目なら、ルイ様は?彼とも仲良かったじゃ無い?彼ならーー」
「でも…うん…一応聞いてみる…もし駄目だったら、アリビオに教えて貰う…かな」
そうよっそれが良いわっと彼女は、自分の席に戻って行った。
さっき、彼が教室に入る時…横顔、髪で隠れて良く分からなかったけど…冷たい感じがしたのは気のせいかな。
ううん!マイナスに考えるのはやめよ!!
私は、放課後になるのを待ち、セラススやルイがいる隣りのクラスに向かった。
其処には、ルイを取り巻く女子生徒達が、今度の晩餐会のパートナーの申し込みをルイにして居る最中だった…。
「あちゃー…凄い人…」
私は、彼女達の後ろ側に立ち、彼に声を掛けるタイミングを見計らってた。
その、女子生徒達の中には、下級生から上級生…中には男子生徒っ!!迄もが、ルイを取り囲んでいる…幅、広すぎでしょ!
「ねぇ!ルイ様っ今度の晩餐会は、是非私とご一緒に行きません事?」
「何おっしゃってるの?ルイ様は私と行くのよ!」
「違うわっ私とよ!ねえ?ルイ様宜しいでしょ?」などなど…彼方此方から我先にルイの争奪戦が始まっている。
こ…怖い…とてもじゃ無いけど…あの輪の中に入る勇気が無いっっっ!!
「あら?ステルラお姉さまじゃ無い?どうしたの?私を迎えに来て下さったの?」
私が立ち往生していると、正に女神が現れたセラススぅうぅう!
「あのね…ルイに話しが有るんだけど…あの中に入る勇気が無くて」
「ルイ?ちょっと待ってね?ルイーッ!ステルラが呼んでいますわ」
セラススのルイを呼ぶ声に、取り巻きのお嬢様達が一斉に「ギッ」と此方を見る…その女子生徒達の姿は般若その者…ひっぃ…こわい…。
ルイも、私に気付き、さっき迄女子生徒達には笑顔だったのに…私だと「無」になるのは何故に?
ルイも、彼女達に、ごめんね?ちょっと待ってね?と一言だけ伝えて私の元に来てくれた。
「…で?何?ステルラ」むっ!何故に冷たい?
「あ、あの…大した用事って程でも、無いのだけど…勉強で、分からない事が有るから教えて欲しいなぁ…と思いまして…はい」
ルイも少し、ビックリした顔したけど…暫く考えてから…小さい溜息を一つ付いて。
「はぁ…ごめんね?それは出来ない相談だ。俺よりアリビオの方が、適任だと思うよ?そもそも相談する相手間違って無いかい?」
「え?あっでも、それもそうなんだけど、アリビオって、ホラ、スイッチが入るとスパルタになるじゃ無い?私の頭ではーー」
「ごめんっやっぱ、違う人に頼んでくれないか?お役に立て無くてすまない」
「あ…うん…こちらこそ…ごめんなさい」
「………他に用が無ければ失礼するよ?」
そう私を突き返しては、また彼女達の下に行ってしまった。
ショックだった…勉強を断られたのもそうなんだけど…彼の口調や目が笑って無いのが、何よりもショックだった。
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