第十一話 …また、私、何かやらかしてしまいました。

朝、シャーロットに起こされ…眠い目を擦りながら、朝食を取る為め食堂に向かった。

 …ふぁあぁあぁっ…あー…ねっむ…結局、昨夜はあれやこれやと考え、一睡も出来なかった…あっ…また、あくびが…ふぁあ…。


「ステルラッ!!!」

「はっひぃ!!」


 眠気を一瞬で吹き飛ばすかの様な一喝が、後ろから聞こえた!


「もうっ!ちゃんとっ令嬢らしくしなさいっ!!口を手で隠しもしないなんてっ!恥ずかしいじゃ無い!誰が見てるか分からなくてよ?」


「あー…もぅ…分かってるよ…煩いなぁ…由香里お姉ちゃんはぁー」


「由香里お姉ちゃん??誰が由香里お姉ちゃんよっっっ!!」


 ハッ!!!ヤッバッ!!!ついっ…リアルお姉ちゃんの名前を出しちゃったよ!


 そうなのだ…私がまだ転生する前、妹だった頃、姉の名前は「空ノ由香里」なのだ。

 …だって…セラススの口調が余りにも、お姉ちゃんと似ていたから…つい…気を付け無いと!!


 本当…転生前の記憶が残ってるのも、考えもんだわっ。


 ……にしても、セラススって私の妹って言う設定だけど、こんなにも、口煩い子だっけ?…一応仮にも主人公枠だから、そこまで煩くして無かったはず…ははは…一応仮にも…は余計だったわね?


 ステルラ・セラスス「お早うございます。お父さまお母さま」


 私達は両親に軽く、カーテシーを済ませ席に着いた。


「お早う。2人共。今日も見目麗しいな」

「お早う。今、食堂の外からセラススの怒る声が聞こえたけど…何かあったの?」


 ドキッ!!!普段お母さまは、凄く温厚な方なのだけど…躾となると、話しは別…とても厳しいのだ…設定ミスった…。


「いえ…お姉さまが、朝からポンコツ全開でしたので、一言注意をしただけですわ?お母さま?大した事じゃございません。」


「…ステルラ…貴方ったら…」


「……ごめんなさい…お母さま」


「まぁまぁっ良いじゃ無いか?元気な証拠だ。ステルラからポンコツを取ってしまったら、ステルラじゃ無くなってしまう」


 セラスス・母「そーですわね?「アナタ」「お父さま」」


 ああああああ…酷い…。


 朝食も済ませ、両親に学園に行く事を、告げ馬車に乗り込んだ。


「あっ…2人共今日は、早くお帰りなさいな?シャーロットと、晩餐会に来て行くドレスを決め無いと、いけませんからね?」


 ステルラ・セラスス「はいっ!では、行って参ります」


「はい。行ってらっしゃい気を付けね?」

「行ってらっしゃいませ。お嬢様」


 私達は、お母さまや、執事・メイドさん達に見送られながら、学園に向かう。


「はぁ〜晩餐会かぁっ!私、凄く楽しみよ?今から何着て行くか、想像するだけでワクワクするわ?ねぇ?そうでしょ?ステルラ?」


「ええ…そうね?今から楽しみだわ?」


「もうっ何よっステルラったら余り乗り気じゃ無いみたい!」


「そんな事…」


 セラススは、まるで、小さい女の子の様に可愛い頬を、ぷくぅっと、膨らませ、窓の景色を見てる…そのキラキラと輝いている瞳には、晩餐会の事を思い描いているのだろう。


「あっ!!そうだわっ!晩餐会には、パートナーを連れて行けるそうよ?ステルラはどうするの?」


「へー…パートナーかぁ?それだったらーー」

「私だったら駄目よ?」…まだ何も言って無い…。


「だってぇ!当日に素敵な殿方が現れて一緒に行きませんか?ってなるかも知れないじゃ無い?だから私は駄目!無理!!」


「ああ…そう…その素敵な殿方が現れてくれる事を祈るわ?」


 パートナーかぁ…晩餐会自体、初体験なのに皆、どうやって見つけるんだろう…?馬車も、学園の前に着き…もう…慣れたけど…校舎に行く学園生徒達に挨拶をし、教室に向かった…。でもね?良い加減慣れたとは言え毎朝毎日、此れはキツイ…。既にお家に帰りたい…ベッドの上で、ゴロゴロしたい。


 教室に、向かう途中、あちらこちら、から男子生徒から晩餐会のお誘いがあった…たまに女子生徒からも。

 でも、私もセラススも、其れを丁重にお断りして、何とかお互いの教室迄辿り、着く事が出来た!…出来る事なら、このモテ期、転生前に味わいたかったっ!!!


 その時、私達の背後から「おはよう。」このっ聞き慣れたイケボはっ!ルイ・ディライト…ううっっっ何故いつも、背後なのよ!


「ルイッお早う。そうだわっルイッ今度の晩餐会、貴方も行くでしょ?その時には、私達と、ご一緒にいかがかしら?」


 なっっにぃっ!!!マジかっ妹よ!


「ねぇ?良いでしょ?そりゃ…他の方々からのお誘いは凄く、有難いんですけど…普段皆さまとは、余りお話しした事が無いんですもの…。其れだっら、親しい人達と、行きたいじゃ無い?ねえ?ステルラ?」


ちょっと待て!さっき馬車の中で言っていた事とは違うく無い??


「へ…?ええ…そうね?」


 其れに!いきなり話しを振るんじゃ無いっ!思わず、声が裏返ったじゃ無い?ルイも私の方をチラッと見ては、視線を直ぐにセラススに向ける。


 ん…?あれ…?ルイ…セラススの申し出に少し戸惑っている?ってか…ひょっと、し無くても困ってる?


「セラスス…キミ達の申し出には有難いのだけど…晩餐会はパートナーと、だろ?俺達3人で行くのかい?」


「あら…?そう言えば…そうですわね?」

 ふふん…その時に、私の悪戯心に火が着いてしまった。


「其れに…セラスス?貴方、今朝、馬車の中で素敵な殿方に声を掛けて、貰えるかもって…言って無かったかしら?」


「ほう…?」


「なっ//////ステルラッ///今其れを言う?しかもルイの前でっ///」


 想像以上に、セラススは顔を熟れたてのトマトみたいに真っ赤にして、教室に入って行ってしまった…可愛い奴め。


 私とルイは取り残され…どーしょ…気まずいんですけど…。

 しょうがない…私も、教室に戻る為にルイに一言掛け、その場を後にしょうかと思った時に…ルイの方から話し掛けて来たと言うより右手首を捕まえられた。


「…ルイ?あの?」


「……ステルラ…その…ごめんっ!!あの日の朝の事や、何て言うか…ステルラを避けてしまう様な行動を取ってしまって…本当っっっごめんっ俺がガキ…子供だった」


 ルイは、本当に申し訳ない顔をし頭を深々と下げてくれた。「候爵」家の御子息が、女性に頭を下げるなんて何事?と他の生徒達も興味津々で、見て来る!!


「ルルルイッやめて!頭を上げて!元はと言え私が…悪かったんですもの?私の方こそ!ごめんなさい!!」


「ステルラが許してくれる迄頭を上げないよ?」


「なっ!え…!ゆ許す?許すも何も無いから!頭を上げ無い方が許さないわよ?」


 その言葉を、聞いたルイの表情が、たちまち、パァアァアッと明るくなり、気のせいかな?今朝迄の、重い雰囲気が何処に行ったみたい?


「ほっ…良かった…本当に良かった」


 ドキッ!!むっ!!不覚にもルイの屈託の無い笑顔に、ドキッとしてしまった。


「ンンッ…その…あの…それで、こんな時に言うのは、非常識なんだけど…今度のーーー」


 ルイが心無しか…頬を赤く染めながら、何かを言おうとした時に、アリビオが声を掛けて来た。


「お早う。ルイにステルラ…2人で何してるんだ?後少しで、チャイムが鳴るぞ?」


「お早う。アリビオ!」


「そう言えば、ステルラ?今度の晩餐会一瞬に行く相手は決まったのか?……もし、決まって無いので有れば、俺と一緒に行ってくれ無いか?」


 えぇっ///まさかのっお誘いが来たぁあぁあ!!


「…ダメか?もしかして…もう、他に決まっているのか?」


「ううん?まだ誰も…決まって無いです」


「そうかっなら良かった!俺と行ってくれるか?」


「はいっ私で宜しければ、お願いします」


 私は、思わず嬉しくなって、つい、2つ返事でOKを出してしまったけど…軽い女だとは思われ無かったかしら!などなど思った途端にしまった!!なにかっ全てをやってしまった感が一気に押し寄せ来る!!


「あああのっルイ…あの…ごめんなさい!さっき何か言い掛けた事ーーー」


 私達の会話を聞いていた、ルイの顔が「無」になってます…私の声で我に返ったのか、妙に冷たい笑顔で話してるんだけど…目が笑ってません。寧ろ恐いです。


「ああ…良いんだよ?気にし無いでくれ?キミにこの前の事を良いたかっただけだからさ?良かったじゃ無いか?パートナーが決まって?じゃ授業が始まるから、俺は失礼するよ?」


「…何だ?彼は…機嫌悪いのか?」


 タイミングです…アリビオ…。おこがましとか…図々しとか思われても仕方が無いですが…今となれば、多分…彼は私を晩餐会にお誘いしょうと思ったのかも知れません。


 その、一部始終を見て居るのは、ルイだけじゃ無く…セラススも見ていたとは…この時はまだ知らなかったのです。

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