第七話 男性の色気はずるいと思います!!

なっっ!!……んてっ間が悪いのっ?それにっ今日に限って…セラスス来るの早いわよっ!

「お姉さまっ一体これは?何故アリビオに抱えられてるのかしら?何処かご気分でも悪いの?大丈夫?」


 姉を心配している、言葉を並べているけど…声のトーンがいつもより低いのが分かる…怖すぎる…それになんと無くキツイ。


「あのね?セラススっこれはーーー」


「セラスス嬢ステルラは今さっき立て無くなる程地面にへたり込んでたんだ。其れで彼女を保健室に連れて行こうとしていた所だ」


 アリビオが淡々と顔色1つ変えないで、セラススやルイに説明している。


「そうだったのですね?まったく!屋敷から学園迄可成りの距離が有るのに…ステルラったら馬車も使わずに来るからよ!」


「…ごめんなさい」


「えっ!!屋敷から徒歩で来た時言うのか?それは無茶な事をしたな?」


「……だって…普段見れ無い景色をゆっくり見たかったんだもん…ごめんなさい」


「ははは…本当にステルラは…」と、アリビオのキラースマイルが炸裂っ!!流石にこれは私もセラススもキュン死にする所だった…しかもアリビオは無意識に発動するから恐ろしい…。


「あ…あの…アリビオありがとうございます。私なら大丈夫ですので、そろそろ降ろして下さいませんか?」


「ん…?ああ大丈夫か?立てるか?」


 アリビオは丁重に私を降ろしてくれたかと思えば、暫く私の腰に手を添えていてくれた。又私が倒れたりし無い様に支えてくれているのだろ…そんなさり気ない優しさも、彼の魅力の1つなのよねぇ。


 セラススも、低いトーンからいつもの可愛い声に戻っていた。私とアリビオの誤解も解けたみたい…ただ1人を除いては。


 さっきから、黙って私とアリビオを見つめてるルイが一言も喋らない。私とアリビオを見た彼は、流石に驚いた表情をしていたけど、直ぐに無表情…より不機嫌に近い顔になってた…そりゃそうよね?助けた自分を突き飛ばして、別の人にはお姫様抱っこされてるんだもん。そりゃ私だって…良い気しないわ。


 セラススとアリビオが楽しげに談話をしだしたから…さっきの事を謝るチャンスとばかりに、ルイに声を掛ける。けれど。


「あ…あの…ルイさっきは…助けて頂いたのに、ごめーーー」


 ルイは私を避けるかの様に、目線も合わさず最後の言葉を待たないまま、セラススの下に近寄り、1人先に教室に行ってしまった。


 えぇえぇえ!今っ私思いっきりシカトされた?


「…ルイったら一体どうしちゃったのかしら?いつもなら、人一倍賑やかな人なのに」


「ルイ何か言ってた?」


「ううん?俺先に行くわっとだけ、言っただけよ?」


「ほう?彼も勤勉なんだな?朝の予習でもしに行ったのかも知れない」


 ステルラ・セラスス「ないない」


 私もセラススも手の平を縦にして顔の前で振った。なっなんのよっっ!そりゃ、突き飛ばしたのは悪かったけどさ?シカトは無いんじゃ無いかなぁ〜?


 でも…悪いのは私なんだし。ちゃんと謝らないといけないよね?じゃ無いとっ私の気が済まないっ!!!このままじゃ嫌だもん!


 私達3人はお互いの教室まで、お喋りしながら向かった…その時に、A組の前を横切る、ルイの席は窓際の1番前だったはず、私は横目でルイが席に座って居るのを確認し、その時彼は片手で顔を口元迄押さえてもたれながら、窓の景色を眺めてた。


 …む…悔しいけど…ルイから何とも言えないフェロモンってか、色気を醸かもし出しているっっ!…これじゃ学園のお嬢様達が黙って無い筈だわっ!クラスが違うから、彼のあんな表情を見る事が無いしっ?ある意味貴重かも?私は、昔から普段賑やかな人が、急に哀愁出されると弱いのよねぇ。


 まるで土砂降りの中、電信柱の横に、捨て犬を拾った不良を偶然見てしまった心境?…分かるかなぁ?分かん無いだろぅなぁ?


「セラスス嬢…ステルラが1人10面相してるぞ?良いのか?」


「良いのよっ!ほっといてあげて?いつもの事だからっ」


 私は、そんな会話がされてるとも、知る由が無く、1人10面相を繰り広げいた。


 セラススと教室の前で、別れ。アリビオは自分の席に、私はマーチが座っている席へと向かう。


「おはよう。マーチ」

「おはよう。ステルラさ…ステルラ!今日も、アリビオ様と一緒のご登校?本当に羨ましいわねぇ」


「たまたま偶然よっ?ぐ・う・ぜ・ん」

「そうかしら?」


 良かったぁ…あの、お姫様抱っこされてた現場にマーチが居なくてっ!!


「ねぇねぇっ!ステルラッ今度の土曜日の晩行くでしょ?」


「…土曜日の…晩…はて?」

「んもぅっ何!ポンコツ出してるのよっ!今度の土曜日の晩は半年に1度!学園主催の晩餐会がある日じゃ無いっ!忘れたの?」


 あっ!!!そうだった、半年に1度の学園主催の晩餐会!隣国の「公爵」やらお偉い方を招いての交流会っ!この晩餐会には本国のお偉い方も来るから、強制的に参加しなくちゃならないんだった!


 この交流会は…女子は将来の殿方を男子は将来の出世をっ…為の晩餐会


 そりゃ…クラスの皆も、心かしか、殺気立ってるはずだわ…ほあーー…。


「ステルラとセラスス嬢はどんなドレスで行くの?勿論貴方達が何を着飾っても注目度No1に違い無いんだけどねっ?貴方達じゃ、勝負にならないわ?隣国の殿方もほっとけ無いんですもの」


「マーチ・スペランツアったら…何も勝負しに行く訳じゃ無くってよ?貴方も充分に魅力的な女性だわ?」


「ふふふふ…ありがとうっステルラ!貴方にそう言って貰えると自信が持てちゃう」


 彼女は、少し頬を赤く染め歯に噛んだ。冗談抜きで、本当に可愛いわよ。

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