第21話 彼女の視点 その5
あの夜の記憶は結構曖昧だった。ぼんやりしていて、どうやって家に帰ってきたかすら覚えなかった。
皮肉なことにこれは初めて体験したことじゃなかった。
前の彼も似たようなことをした。会社の同期と二人きりで、ある恋人同士がよく行くレストランに晩ご飯を食べたところを見てしまった。彼は後ろめたさがなく、申し訳ないという気持ちも一切なかった。ただ親友と食事をしただけっての一点張り、謝ることももちろんなかった。あれは一回きりのことじゃなかったので、彼女はどうして許せなかった。
ただの友達なのにって。
前の彼とまだ付き合っていたにもかかわらず、その親友さんは妊娠してしまった。二人は晴れてできちゃった婚という結末を迎えた。
今回は違ったけど。公の場で、みんなの前で、他の人の目を気もせず、同じスプーンでデザートを食べた。顔が至近距離で会話をした。そして周りが騒いでも、何の否定もせずその注目を浴びていた。何より、まんざらでもない表情だ。
ああ、最低だ。一周の終わりにこんな楽しい出来事があった。
彼女は食事会へ行ったのは、彼と話す機会が欲しかった。自分なりに反省をして、もうちょっと努力して一歩を進めば、二人の関係を改善できるでしょう。結果的に、こういう場面を見せられた。
前の彼の時、彼女はすごく悲しく怒って、涙まで出た。なのに、今回の場合はただ何もを考えないまま、空っぽの状態にだった。何でだろうね、心がまるで麻酔にかけられたみたいに、感覚が鈍くなったかもしれない。
彼女はの頭の中に、「自業自得」という言葉も浮かび上がった。公表していれば、その新人後輩ちゃんに「私の男に手を出すな」とか言えるでしょう。でも彼女は元々こういうことはしないタイプだ。そこまで宣言する必要があるなら、この男に執着しても無意味だと思った。
彼はわざと新人後輩ちゃんとイチャイチャしたのは明白だ。明らかに自分に対するの復讐って、彼女は分かった。でも、自分にも非があったから、そうされても仕方ないかっと妙に納得した。
次の日、彼の着信があったが、彼女は出なかった。何も話せることがないから、出てもただ喧嘩をするだけ。だから、自分の考えを整理付けるまでは話したくなかった。
彼から日曜日に会いたいというメールが来た時、彼女はしばらくじっと画面を見た。短く返事をして、ある決意をした。
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