第14話 噂話

いつものように、女性社員が男性社員の話題をする時、彼の名前がよく聞こえた。


「彼はあの日、私の荷物を席まで持ってきてくれた。すごく紳士的ね~」

「この前だって、カフェで偶然会った時、列がすごく長くてってさ、彼がすでに並んでいたから私の分を買ってきてくれるとか言って。結局奢ってもらちゃった。まさか私に気がある?ハハ~」

「最近、仕事で忙しくてさあ、ある日かなり遅くまで残業していた時、彼が私にパンをくれて、まだ晩ご飯を食べてないだろうって。それ以来、彼を意識し始めたよ~」


毎日、このように彼の「美談」を聞きたくなくても聞こえてしまった。うんざりの気分をどうしても発散できなく上に、「犯人」である彼にもこのモヤモヤをぶつかってできなかった。彼女はますます仕事に集中して、一人で行動することが多くなり、女性社員の集まりをできるだけ避けてきた。


事件はある日兆候なく起きてしまった。


彼女は給湯室へ入ろうとした時、数人の女子がそこに集まっていた。どうやら、世間話をしているそうで、彼女はそれに関わりたくなくてまた出直そうと思った瞬間、彼と自分の名前を聞こえた。


「大体さ、何で彼がそこまで彼女に優しくしているでしょう?」

「ええ、どういうこと?」

「彼女のSNSを見た?投稿をするたびに、彼はいつも真っ先に”いいね”を押して、コメントもたくさん残していた。でも、彼女の反応はあまりなくて、無視しているじゃないかって?」

「まあ、彼は誰にも優しくしているから、多分二人の間は何もないじゃない?」

「だって、気持ち悪くない?あんないい人がそこまでしてくれて、もっとありがたくその優しさを受け止めるべきじゃないの?」

「あの人は仕事もできて、上にも期待されている有望株だから、彼のことを眼中にないかもね。」

「SNSの件だけじゃないよ。いつも彼女のことを特別視みたいで、彼女の反応はとても素っ気ないというか、冷たいというか、そんな彼を見ていてこっちが慰めたくなるね。」

「本当に?気持ち悪いね、何様のつもりだよ?」

「女王様の気取りかもね~」

「他にたくさんいい子がいるのに、本当に彼女にもったいないぐらいだよ。」

「自分からアプローチしてみれば?気が変わるかもねい~」

「ええ、したくてもライバルが多いね~」

「でも、彼は女を見る目がなさそうだし、彼女を見ればわかるよ。あの氷のような女はいったいどこがいい?そう考えると、あなただってチャンスがあるよ~」

「ひどいよ!あんな女と比べないでよ!」


もう聞きたくない。彼女をそのまま給湯室から離れ、屋上にある庭園へ向かって気を晴らそうと思った。


すでに先客がいったみたいで。静かに裏側にあるベンチに座って、周りの景色を見ながら手にあるお茶を飲もうとする時、また彼と自分の名前が聞こえた。今回は3人組の男性社員だ。


「彼は本当に独身男性社員の敵だね。女子はみんな彼にメロメロだよ~」

「みんなのアイドルみたいなあ。」

「でもそのアイドルがさあ、彼女に気があるみたいね~」

「ええ、まじかよ?彼女よりかわいい子がたくさんいるのに?」

「それ同感。あの女は仕事ができても、可愛げないだよ。いつも、表情がすくないし、笑顔を滅多に見えない。多分、プライベートもあの感じだよ。」

「そういう女とキスするって、想像だけで嫌。多分セックスをする時でも無反応?」

「それはどうだろう、想像できないね。でも、彼女は彼にいい顔見せてないみたいだ。なんか、彼の一方的な思いかな?」

「それはいけないなあ。早く、ターゲットを変わった方がいい。だって、彼が特定の女がいたら、他の女子も彼を諦めるし、俺たちにはチャンスがあるなあ。」

「分かる~じゃあ、合コンでもセッティングして、早く彼のガールフレンド探しに手伝いますか?ハハ~」


こっちもあっちも噂話が絶えない。この人たちさあ、すごく暇だね。自分に関係ないことをベラベラ喋って、平気に当事者を傷つけ、くだらない。


公表しなくてよかった、彼女は改めてそう思った。


すでにこんなにひどい噂が広まられ、もしバレたらもっとひどい目にあうのは自分だろう。彼は人気があるから、みんなから見ると、彼は被害者のように可哀想だ。こういう冷たいでいいところのない女と付き合って、もったいないなあ。


追いかけてきたのは彼なのに。交際を申し込んできたのも彼、結局彼女は犯人扱いのようにこんなに非難され、まじで腹立つ。

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