第3話

名前の書いてない傘であり。

ま、あれだよな、高校生にもなって、

山吹シンジなんて油性ペンで名入れできっかよ。だせえよ、そんなの。

小学生じゃあるまいし。


そんなわけで。俺はびしょ濡れで濡れて帰り。

藤島のやつは、女子にモテたい(高感度を上げたい一心で、


俺の傘を持ってして、


「橘ヒナタさんー!傘ないの?

俺の傘、入る??」


とスマートに声かけてた。


橘ヒナタ。

俺の幼稚園時代からの幼馴染。

幼馴染っつっても、ただの幼馴染じゃない。

超絶美少女にして、雑誌の読者モデル。

名前は可愛いが、

性格はあんまり可愛くない。


気心の知れた仲ってことで、

俺にはツンツンしてるんだ。

挨拶くらいはするけどな。

基本的に素っ気ない。


バレンタインにチョコもくれるが、

「義理だかんね!そこんとこ、

誤解しないよーに!」


「失敗作だかんね!

勿体ないからあげるんだからね!」


などと、余計な一言を言う女...。

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