いつもの公園で
夏の朝は明け方が良い。
うだるような暑さはなくて、歩いていてもランニングをしても汗だくになることはない。吸い込む空気の清廉さに未沙は脚がいつか駆けだしていくことを止められなかった。
「陸斗が走るから私もつられちゃう」
「いいじゃないか、体がなまるだろう、マロンなんかもっと走りたいって顔をしている。見てみろよ」
私はリードを持つ手を強く引く。
陸斗について行くつもりのマロンは私の方を振り返る。
「そうなの? もっと走りたい?」
はあ、はあと舌を出しているマロンの顔を見ていると陸斗との距離はどんどん離れていく。早朝は人が少ないから一人では怖いので陸斗が付き合ってくれているはずなのに、昨日の夕立のためか朝靄で陸斗の姿が霞んでゆく。
「待ってよぉ」
マロンが私を置いて走って行ってしまう、少し力を緩めると成犬になったので暴走してしまうことがあるのだ。
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