第5話 初めてのクエストのはずが運命の出会い?前編

~アーラム村~


「着いたのか?」


転移は、かなり早かった。早すぎて着いたのかどうかその実感がわかない。まず一瞬で移動とか考えられんし…




そして、目を開くとそこにはきれいな景色が…というのを想像していたのだが…次に聞こえた発言でその想像が一瞬で打ち砕かれた。




―きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!  


―逃げろゴブリンがいるぞ!!!!!!


―なぜこんな村にゴブリンがいるんだ!?



村の住人だろうか…真っ先に俺の目に入ってきたのは逃げ惑う人々だった。村の住人だろう…逃げ回っている人達は皆、怯えた表情をしている。



―とりあえず何が起きてるのか聞かなければ…



「あなたも逃げてください!!奥に化け物がいます!!」


慌てて奥から、逃げてきた男が俺に話しかけてくる。




「あなたは?」




「私の名前はクロス・ローディン、この村の名手をやってます、それより逃げましょう!!」









「ローディンさん、落ち着いて話してください、一体、この村になにが起きてるんですか?」




「いきなりこの村にゴブリンが攻めてきてそいつらに火をつけられた。この村にはゴブリンを倒せるものはいない。もう無理だ、お前も逃げろ!!…」


―なぜこの村にゴブリンがいる?普通ゴブリンはダンジョンに出るモンスターじゃないのか?



あたりを見渡してみると村のあらゆる場所から火が出ている。村の住人の反応からしてゴブリンがこの村に居るのは本当らしい。てかまた面倒なことに絡まれたな…






すると突然…




ドゴォォォォォォォン!!!!




大きい衝撃波と音が村中に響き渡る…

それと同時に建物が吹き飛ばされた。


「うわぁぁぁぁあ」


「あぁぁぁ…俺たちの家が…」  


「村がこんなになるなんて…」 


―おかしい…

この衝撃波でわかったが奥にいるゴブリンは明らかに普通のゴブリンではない、キングゴブリンだ!!体は二階建ての建物と同じくらいデカく、それにデップリ太った腹、特徴的な形をしたオノ、はっきり言って化け物だ。初心者冒険者や普通の人間は倒すどころかあの肉だとまともな攻撃を与えるのはのは到底無理だろうな。

だがなぜこの村にこんなモンスターが居るんだ?





ガタガタガタガタ…



ん?地震か?なんか揺れてる気が…って!


「急いでててっここここののの村かららららら逃げげげないいいとととと」ガクガクガクガク


ローディン、お前震えすぎだろ!!…お前がここまでビビりだと見てるこっちが不安になるわ…




「ローディンさん…落ち着いてきいて、あなたはこのまま村が壊されていいのか?」




おっ 震えが止まった


「…そりゃあ俺の生まれ育った村だ、壊されていいわけねぇよ、」




「なら何故逃げる?」




「ずっとこの村にいたからわかる…この村の人間にはあのゴブリンを倒せる奴なんていない。無理なんだよ!…俺たちにはアイツは倒せないんだ!!」


彼の叫びが村全体に響き渡る。



「仕方ないなぁ〜、俺がこの村を守る」



「えっ? 今なんて言いました?」


当然、名手を含めた村の人達が驚いた表情をしている


「だから俺がこの村を守る」


「あなた、もしかして、冒険者なんですか?」


―あぁちょっと前までレグルスと言うパーティーに居た冒険者だ


「えっレグルスってあの勇者ロイのパーティーですか?」


―あぁなんか問題でもあるのか?


「いえ!!あの勇者パーティーはすごい有名ですし、そこのメンバーだと言うなら本当に…」



「この村を守ってくれたらあなたはこの村の英雄です…お礼はいくらでも出します…ですのでどうかこの村を守ってください、お願いします」村の住人も頭を下げ、お願いしてくる



異常な速さで広がる炎を止めなければ間違いなく村が全焼してしまう…たとえゴブリンを倒しても村を守れなければ倒す意味がないだろうし、先に火事の方を消すとするか。

「わかりました、まず村の火を消します、ローディンさんは住民を安全なところへ案内してください」


「わかりました!!よし移動するぞ…どうかこの村を守ってください、お願いします」

深々と頭を下げ、村の人達を連れて移動していく



…よし!!

まずは

{クリエイトウォーター!!}

そして、スキル{水操作}発動!! 








「おい!あれ見てみろ!あの方の手のひらから水が出て…」




「あれヤバいだろ…」




「何者だアイツ…あんなスキル使える奴いるのか?もしかして本当に勇者なのか」


 


水は地面には落ちず、丸い形でどんどん大きくなり燃えている建物の方に飛んでいく。次第に水の塊は村の建物を飲み込むぐらい大きくなっていく





「すごい…こんなことをできる人がいるなんての信じられない」




「神だ!あいつは、いやあの方は…水神様だ!!水を操っているそんなことできる奴は水神だけだ!!」




「水神ってあの伝説に出で来る神の一人か?」



―よっと!!

俺が手を上に掲げると

水の塊はものすごいスピードで大空へ高く上がり


―スキル解除!!


パァァァン

破裂した…



ポツ……ポツ…ポツポツ…ザァァァァァァァァ




風を切り裂くような衝撃波と共に水が降ってくる。



水は、ものすごいスピードで村を飲み込んでいた炎を一瞬で、いとも簡単に消していく。まるで住人達が怖がって逃げ惑っていたのがばかばかしく感じるくらい、簡単に消していく。もちろんこれ程の力を持っていたと思っていなかった村の住人達は全員驚いている様子だ。




―よし あらかた、火は消えたな 次はゴブリンを倒しに…


俺は村の住人の方に振り向き一言


「皆様、炎は消しました。村がこれ以上焼けることはもうないので安心してください。」


「俺は向こうにいるゴブリンを倒しに行きます。」


そう言い残しゴブリンの居る方向に走り出す




「ありがとうございます!!あなたは英雄です!後でゆっくりと話を!!」








★あとがき★

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