第35話 遅れ,今尚遠し

「みんなにおいていかれてるな。」

いつからだろうか、こんなことを感じるようになったのは。昔は自分の方が優れているように感じていたのに。

いつの間にかみんなに置いて行かれる。

何となく気づいてはいるのに「楽だ」なんて理由で変化することよりも停滞することを選んだ。


「好きかもしれない」

そう思ったあの娘は既に彼氏がいた。ただ眺めることしかできずに、卒業を迎えた。そして記憶を美化し感傷に浸ることしか出来ない。ただの自己満足でその間にほかの出会いを探すことが出来たかもしれないのに。


「ヤることヤったわ」

友達はどんどん先へと進んでいく。けれど僕は停滞したまま先に進んでいない。否、先に進む気力さえ持っていない。当然胆力なんてあるはずもない。その1歩を踏み出すことで僕も大人になれたかもしれないのに。停滞を選ばなければ今とは違ったのかもしれないのに。


「偏差値5ぐらい上がった」

ちゃんと勉強してる人は伸びるのに、楽な方に流されている僕は、何も変わらない。変わろうとさえもしない。今まで眠っていた5分を勉強に回せば第一志望校に受かっていたかもしれないのに。妥協なんてせずに済んだかもしれないのに。


「#打ち上げ の写真を眺めている」

嫌われてるのか誘われなかった体育祭の打ち上げ、インスタで友達がご飯食べに行ってるのをただ画面越しに眺めてる。落ち着きと人間関係の練習してたらなにか違ったのかな?何年経っても分からないまま。


何においても「変わりたい」と、口先だけで、変わろうとせずに停滞している。そんな間にも周りは努力をし続けているのに。自分で選んだことなのに自己否定をして、それでいて何かしら変わろうとするわけでもなく自己矛盾を起こす。


「努力をする才能がないのかな?」

そんなことは無い、ただみんな才能がない中でどれだけ頑張れるかの差でしかない。それなのに諦めて楽な方に行っているだけのやつに何が成せる。何かしら成し遂げたこともないのに口先だけで、見苦しいだけなのに。


何倍も生きている?だからなんだ。ただただ無為に時間を重ねただけで積み重ねはしているのか。

歳をとったところで停滞しているようじゃ得るものなんてありゃしない。


行動しなければ何も変わらない?嫌、

行動しても続けなければ変わらない。

向いてない?違う、

向いていると思ってる人は自分の何倍も努力してるだけ。


それすらも分からずに、不平不満を垂れ流すぐらいならもういっその事全てやめてしまえばいい。

その間にも他の人は努力を積み重ねているのだから。



そして今も尚距離は開き続ける

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編集 pt.1 瑞葉 @Kiri_fal

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ