第28話 あこがれ

私はこの3年間何をやってきたのだろう。


現実は小説のように“ご都合主義”では無い、なんてことは当然分かっていたはずなのに。


私は何もせずに無為に過ごしてしまった。


思い出を作れば良かったのに、なんて嘆くのはもう遅い。


高校生活で部活動に打ち込むでもなく、恋愛をする訳でもなく、勉強にのめり込む訳でもない。


それは私にとって『華の高校生活』ではなく『灰の高校生活』としか言い表せないものだ。


部活動に精を出してブロック大会まで上り詰めた同級生もいた、恋愛にのめり込んで男なのにヤり捨てられた友人もいた。


けれど私にはそんな同級生が眩しく見えた。


私には大学デビューしようと思えない、いやするだけの気力がないだけだろう。


私はおそらく死ぬまでこの調子なのだろうか?


私が中学生や高校生の頃に憧れた漫画や小説の登場人物。


毎日をちゃんと生きていたあの人たちの足元にも及ばないままあの人たちよりも歳をとってしまった。


でも、このまま何も残せないなんていうのは嫌だから、少しだけ、ほんの少しだけ頑張って見ようかな?


たとえ憧れに届かないとしても。

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