第29話 秘めたままのこの思い
『僕は最低な人間だ。』
『身の丈を弁えずに何人もの人を好きになるなんて』
届くはずの無い思いは心の内で混ざり合い、ぐちゃぐちゃになって、そしてはじけてしまう。
その罪悪感に耐えきれなくなって無性に辛くなる。
これは初恋かもしれない、と気づいてしまったのは中学一年生の頃、その子と隣の席になった時である。
その子は僕が思っていた以上にオタクであり、そして何よりはにかみ笑顔がとても素敵だった。
当時ボカロにハマっていた僕はその子と話し込んだりした。
もっとも、距離が近づいたことなんてほぼほぼなかった気がするが。
何せその子には彼氏がいたのだから。
同じ学校にいる最後の年の体育祭では熱中症で休んでいる間にその子もいて久々に話したりしたが恋愛には繋がらなかった。
当然ではある。
そして好きな人がいるにも関わらず僕が好きになってしまった子は幼少期、小学校に入る前までしか話したり遊んだりするような子だった。
小学校は校区が違う、なんて理由で会うこともなかった。
けれど中学生になってしばらくしたある日また縁ができた。
なんてことは無い、親同士の縁があっただけだ。
しかし僕は何故かその子に対して恋慕の気持ちを抱いてしまった。
けれど好きな相手だなんて伝えれる訳もなくほぼ話すことなく縁が切れた。
僕が臆病なばかりについぞ気持ちを伝えられなかったのだ。
このような感じで好きな人がいるのに他の人をすきになる。
なんてことを何度も繰り返した。
中学、高校の頃で言うならば最大で同時に5人も好きになった。
しかし僕が臆病なせいで全て気持ちは心の内にある。
これを思い出す度に僕は心が苦しくなるかもしれない。
だが人として最低な人間の末路にはこれ以上ない相応しいものだろう。
そして僕はこの思いを死ぬで秘め続けるだろう。
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