第20話 美

この錆び付ききって上手く出てこない語彙では正確に言い表せないのだけれど、「美しい」ってなんだろうね。

心から「美しい」と感じた時になぜだか分からないがこのようなことを思った。


世の中には自己犠牲を美しいと感じる者も居れば、主観者から見て欠点のない人のことを美しいと感じる人もいる。


じゃあ私にとっての「美しい」ってなんなのだろうか。


容姿なのか。性格なのか。服装なのか。センスなのか。それとも信条なのか。

きっと私にとっての「美しい」とはそれらが複合的に、そして複雑に絡み合ってできているのだろう。

けれど一言で言い表すなんて決してできない。それをすることは私にとっての裏切りであり、そして侮辱であるから。


しかし人に聞かれた時にはやはり長々とは話せない。

そのためあえて言い表すとするなら「生き方」と答える。


その人の「生き方」にはその本人の価値基準や信条などを形作る色々な要素と、その本人を取り巻く環境が反映されていると考えているからだ。そしてその中にこそ本当の「美しさ」というものが隠れているのではないかと考える。


とはいえ私の「美しい」と思う価値基準を誰かに押し付けるつもりもなければ、他の誰かの「美しい」と思う価値基準を否定するつもりもない。それをすることもやはり誰かに対しての侮辱であるから。


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