第2話 男としてのプライドが失われる時
「んぅ?」
目を開けた瞬間、白い天井が目に入った。今まで目の前が暗かったからかいきなり光が差し込んできてあまりの眩しさに目を細める。
「おっ、目覚めたか?」
ガラリとカーテンが開かれ姿を現した人物を見て俺は再び気を失いそうになる。
その人物、青髮のポニーテールにジャージ姿の女性が腕を組みながら俺を見下ろしていた。
「だ、れ…ですか」
やっとの思いで出した声は自分でも驚くくらい酷く震えていた。
「ん?私か?私はこの学校の体育教師、
今にも効果音が付きそうなくらい胸を張って堂々と応える先生。
てか女性が俺を保健室まで運んだのか。俺ってそんな軽かったけ。男性の平均体重はあると思うんだけど。
「えっと、力持ちなんですね」
困惑した俺から出たのは聞く人によっては失礼極まりないものだった。
しかし目の前の先生は瞳をきらきらと輝かせてズカズカとこちらに近付いてくる。
ヤバッ、やっぱこれを言うのは失礼だったか?しかしこれ以上近付かれたら本格的にヤバいと思った俺はすぐに後ろへと下がるが俺が居るのはベッドの上だからすぐに壁にぶつかってしまう。
これ以上来ないでくれ!!!
体を丸めて身構える俺だが先生はベッドに手を突いて嬉々と話し始める。
「そうだろう!?最近更に筋肉が付いて来たんだよ!ほら、腕の部分を触ってみてくれ!」
先生が腕をこちらに伸ばしてくるが俺は首を振って拒む。
「ちぇっ、残念だな・・・」
先生は渋々と言った感じで離れるが保健室からは出て行こうとせずにジッと俺を見つめていた。
「・・・な、んですか?」
俺は何か気に障る事をしただろうか。
「いや、君の具合が良くなってもすぐに動く事は不可能だろう?なら私が、君を教室まで運んでやろうと思ってな!」
「け、結構です」
「む!?な、なんでだ!勿論、君の負担があまりない横抱きだぞ!?」
もっとやだよ!!
なんで女性に姫抱きされないといけないんだ。とんだ辱めだよ。しかし先生は目を輝かせて腕を広げていた。
あれ…?俺も一応男の筈なんだけどな。もしかして男と思われてない?生徒だけど高校生を抱き抱えようとする先生なんて居るか?
うん、きっと俺に男の魅力がないんだ。じゃないとこんな嬉しそうに腕を広げるなんてありえないことだから。
俺は先生をちらりと見て溜め息を吐いた。
♢♢♢♢♢♢
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俺の事が嫌いなはずの彼女達が何故か事あることに近付いてくるんだが 白夜黒兎 @yuka822
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