俺の事が嫌いなはずの彼女達が何故か事あることに近付いてくるんだが
白夜黒兎
第1話 女が居るんですけど・・・
「どうやらお主、恋愛の神に見放されてるようじゃ」
高一の六月、殆どの奴が新たな環境に慣れ始めてる頃、
しかしその事実を知っても俺は驚きもしなかった。何故ならそんな気がしたからだ。
初めて恋をしたのは小四の時だった。その子はボーイッシュな感じで女の子っていうかどっちかっていうと男の子みたいな子だった。でもたまに頬を染める姿は誰よりも女の子で、俺は放課後にその子を呼び出して告った。
しかしその結果は惨敗。
どうやら彼女には既に意中の相手が居るらしい。俺はその日初めて失恋をしたのだ。
しかし俺の恋愛事情はここで終わらない。
中学にあがった時、初めて彼女が出来た。その子は一つ結びで眼鏡と地味な見た目をしていたけど俺の具合が悪いときにノートを家まで持ってきてくれたり、怪我をした時すぐに駆け寄ってきてくれる気の利いた子だった。だけど何ヶ月か経った後、彼女はお洒落に気を利かせる様になった。眼鏡を外し髪も下ろして唇なんかぷるぷるだ。そんな姿を見ても鈍い俺は『今日はいつもと違うね』なんて的外れな事しか言えなかったんだ。彼女と二人で話したのはそれが最後だった。彼女は二股していたのだ。
それから俺は女性不信になった。女性なんて皆、今彼よりも良い人が居たらそっちに行くんだろ。俺の事なんて好きになる人なんて居ないんだ。そんな事を思っていたらあっという間に月日が流れ俺は高校生になった。本当は男子校に通いたかったんだが周辺に行けそうな高校がなかったのだ。ここらのレベルは高すぎる。俺の頭じゃ100%無理だろう。そうして渋々男女共学に行くことにしたのだが俺は行って後悔することになる。女子率が物凄く高いのだ。どこもかしこも女子。もはやトラウマレベルまである。俺は逃げ出したい気持ちが湧き上がり一歩ずつ後ろに下がる。その時、誰かにぶつかってしまう。
「あっ、すみませっ!?」
謝ろうと後ろを振り返ってその人物を視界に入れた瞬間目眩が起きてしまう。
「いえ、こちらこそごめんなさい!もしかして貴方もここの新入生ですかぁ?」
茶髪のボブ、細っこい腕、足…甘ったるい匂い、そして・・・メロン。
ヤバい、どこからどう見ても女子だ。
俺は全身から血の気が引いてくのを感じる。
「あの、どうしました?」
女の子が何か言ってるがそれに答えられる余裕など俺に持ち合わせてなかった。
よし、こうなったら。
上手く回らなくなった脳で俺が考え抜いたことは・・・。
「あの、ってえ!?だだ、大丈夫ですか!?」
その場で気を失うことだった。
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